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国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 堀 紀子 氏らの研究グループの報告。研究成果は、2025年8月12日 「PNAS Nexus」に掲載。
全国の75歳以上で要支援認定や要介護認定を受けていない高齢者1032名(男性50.2%)が対象。2024年6月12日~13日に実施。フレイル判定は「後期高齢者の質問票」※1、ヘルスリテラシーは「HLS-EU-Q47」※2を用いて評価してフレイルとヘルスリテラシーの関連を調査。
主な結果のポイント
1 ヘルスリテラシーの点数
フレイルの人の点数(27点)はフレイルではない人の点数(31点)よりも、統計学的に明らかに低いかった。
2 フレイルの人はフレイルではない人よりも健康情報の入手が、
・ 「病気になったときに専門家の助けを得られる場所を見つける」は、1.42倍(オッズ比[OR] = 1.42、95%信頼区間[CI] = 1.01–1.99)難しい。
・ 「受けるべき予防接種や健康診断に関する情報を見つける」は、1.89倍(OR = 1.89、95% CI = 1.16–3.09)難しい。
・ 「運動、健康的な食事、栄養など、健康的な活動に関する情報を見つける」は、1.77倍(OR = 1.77、95% CI = 1.16–2.70)難しい。
報告は、「より多くの健康情報を入手することは大切であることが分かった。早いうちから健康に関する知識(ヘルスリテラシー)を高めること、自治体や企業は、対象者に対して、こうした情報へのアクセスをサポートすることが、フレイル予防の糸口になる可能性が示唆された」とまとめている。
※1 フレイルは、加齢にともない心身や社会的な機能の低下により、要介護になりやすくなる状態。「後期高齢者の質問票」は、全国の自治体で行われている高齢者健診の問診票として2020年度から使用されている15項目からなる質問票。各質問に「よくない」を回答をした時に1点が加算され、4点以上の時にフレイルであると考えられている。
※2 ヘルスリテラシーは、健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用する能力のこと。ヘルスリテラシーを高めることは、病気の予防や健康寿命の延伸につながると考えられている。「HLS-EU-Q47:European Health Literacy Survey Questionnaire」は、健康情報の入手、理解、評価、活用の4つに分類された47の質問で構成。
「Association between health information-processing ability and frailty among community-dwelling older adults: A cross-sectional web-based study」(Geriatrics & Gerontology International) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ggi.70135