一人暮らしで社会参加のない高齢者は、身体活動時間の減少が著しくフレイルリスクが高い!-COVID-19パンデミックの影響-(筑波大学)

 筑波大学人間科学部教授 山田実氏らの報告。2021年4月26日「The journal of nutrition, health & aging volume」に記載。

 2020年4月23日から27日まで都市部である東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、福岡県(これらの都道府県では、2020年4月7日に非常事態宣言が発令され、2020年5月25日に解除されたのに対し、2021年1月7日に非常事態宣言が発令された)の高齢者1,600人に2021年1月15日から25日まで追跡オンライン調査を実施。ベースライン時点でフレイル該当の388人および追跡調査の回答を得られなかった275人を除いた937人が分析対象。

 身体活動量は、国際身体活動質問票(IPAQ:International Physical Activity Questionnaire)のShort版を使用。COVID-19パンデミックの波に応じて、2020年1月、2020年4月、2020年8月、2021年1月の4つの時点で調査。
 フレイルの定義は25項目からなる基本チェックリストを使用。

 パンデミックの第1波、第2波、第3波における総身体活動時間は、パンデミック前と比較して、それぞれ33.3%、28.3%、40.0%減少。特に、一人暮らしで社会的に活動していない高齢者の総身体活動時間はパンデミック前に比べて、それぞれ42.9%(第1波)、50.0%(第2波)、61.9%(第3波)と大幅に減少。さらに、一人暮らしではなく、社会的に活動している高齢者に比べて、フレイルに陥るリスクが有意に高かった(調整オッズ比:2.04[95%信頼区間:1.01~4.10])。

 報告者らは、「一人暮らしで社会的に活動していない高齢者は、パンデミック時に身体活動が減少することで、フレイルに陥るリスクが高いことが示唆された。このメカニズムを理解することは、高齢者の健康状態を維持するために非常に重要であると考えられる」とまとめている。


「The Influence of the COVID-19 Pandemic on Physical Activity and New Incidence of Frailty among Initially Non-Frail Older Adults in Japan: A Follow-Up Online Survey」
 https://link.springer.com/article/10.1007/s12603-021-1634-2