コロナ禍、若者や中年の方が高齢者より孤独を感じる傾向にあることは見逃されがち!(あなたのいばしょ、科学技術振興機構)

 2022年2月24日、特定非営利活動法人 あなたのいばしょ、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST:Japan Science and Technology Agency)の共同発表。

 20歳以上の日本在住者を対象に、コロナ禍での人々の孤独に関するオンライン調査を実施。一回目は2022年2月2日から2月4日に実施、有効回答者数994人。二回目は2022年2月15日から2月17日に実施、有効回答者数2017人。合計3,011人の結果について分析。

 孤独感は UCLA孤独感尺度(3項目版)を使用。6点以上を「孤独(状態)」と定義して分析。うつ状態についてはPHQ-8(8-item Patient Health Questionnaire) 尺度を、不安状態についてはGAD-7 (7-item General Anxiety Disorder)尺度を用いて測定。どちらも回答を点数化し、それぞれ10点以上を「うつ状態」、「不安障害」と定義して分析。

結果

・ 孤独を感じていた人の割合は、男性が39.5%、女性が35.1%。年代別では20代が42.7%と最多。30代41.6%、40代40.5%、50代38.4%、60代以上23.7%。(上図参照)
・ コロナ流行前より暮らし向きが悪化した人のうち、47.8%が孤独を感じていた。
・ 個人的なことを話せる友人の数については、そのような友人がいない(0人)の調査対象者のうち57.6%の人が孤独感を抱えていた。友人の数が増えるにつれ、孤独感は低くなる傾向。
・ 孤独感は複数の要因が相互に影響を与えている可能性があるため、上記の要因をすべて考慮に入れて分析を行なったところ、特に「若者・中年(20-59歳)」、「男性」、「暮らし向きが悪くなったこと」、「(個人的なことを話せる)友人が一人もいないこと」が孤独感を高める傾向が強いことが明らかになった。
・ うつ状態は、高齢者よりも若者に該当者が多い傾向にあり、20-39歳の28.2%の同年齢の回答者が中程度から重度のうつ状態と判断される状態。高齢者については、7.5%が該当。
・ 孤独感とうつ状態、不安状態の関係については、孤独を感じている人は、孤独を感じていない人に比べて、うつ状態あるいは不安障害を抱える傾向がそれぞれ4.7倍、4.8倍。また、コロナ以前に比べて暮らし向きが悪化した人は、メンタルヘルスの状態が悪い傾向。

 報告は、「若者や中年の方が高齢者より孤独を感じる傾向にあることは見逃されがち。若い世代に向けた孤独・孤立対策が重要と考えられる」とまとめてる。


「コロナ下での人々の孤独に関する調査を実施 ~若い世代とコロナで暮らし向きの影響を受けた人の孤独感が特に高いことが明らかに~」(科学技術振興機構)
 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20220224/index.html