女性は、植物性、動物性に関係なく蛋白質の摂取割合が高いと肺炎死亡リスクが低い(多目的コホート研究)

 多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。 2021年12月16日「Am J Clin Nutr.」にWeb先行公開。

 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2019年現在)に在住の40~69歳のうち、研究開始から5年後に行った食事調査票に回答し、がん、循環器疾患、腎疾患、糖尿病になっていなかった8万3,351人を、平成28年(2016年)まで追跡した調査結果にもとづいて、動物性、植物性、総たんぱく質摂取量と肺炎死亡リスクとの関連を調査。

 平均18.4年の追跡期間中に、990例(男性634例、女性356例)が肺炎で死亡。

 男女別に動物性/植物性蛋白質、総蛋白質摂取量について、総エネルギー摂取量に対する割合を算出。蛋白質の割合が低い順に四分位に分類し、最も低いグループを基準とし、それ以外のグループの肺炎死亡リスクを算出した結果。

 男性は総蛋白質の摂取量割合と肺炎死亡リスクに有意な関連は認められなかった。女性は総蛋白質摂取量割合が高いほど肺炎死亡リスクが低かった(HR [95%CI]:0.71 [0.53、0.97 ]、 Ptrend 0.01 )。脂肪酸摂取量調整モデルでも同じような結果(HR0.70 [0.45、1.06]、Ptrend 0.05)。動物性/植物性蛋白質摂取量の割合をは、男女とも肺炎死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった。(上図参照)

 報告は、「高齢者では蛋白質摂取量が多いと肺機能が高い、また栄養失調が免疫低下につながるとの報告があることから、総エネルギー摂取量に対する総蛋白質摂取量の割合が低下しないよう維持することが、肺炎死亡リスクの低下と関係する可能性がある」とまとめている。

「動物性、植物性、総たんぱく質摂取量と肺炎死亡リスクの関連」多目的コホート研究(JPHC研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8865.html
「Total, animal and plant protein intake and pneumonia mortality in the Japan public health center-based prospective study」
 https://academic.oup.com/ajcn/advance-article-abstract/doi/10.1093/ajcn/nqab411/6464203?redirectedFrom=fulltext