COVID-19が大学1年生のメンタルヘルスに与えた影響 -全体的なストレス状況は感染拡大前に戻ったが、自殺念慮のあるハイリスクの学生は増加-(岐阜大学)

 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学 保健管理センターの堀田 亮助氏らの報告。2022年1月13日に「PLOSONEオンライン版」に掲載。

 2019年、2020、2021年の3年間岐阜大学の新入生(2019年400人、2020年766人、2021年738人)を対象に毎年4月から5月までの期間にオンライン調査を実施。調査には大学生のための心理・精神症状評価尺度(CCAPS:Counseling Center Assessment of Psychological Symptoms)の日本語版を使用。

 2020年(COVID-19感染拡大直後)の新入生の抑うつ、不安症状は、2019年(拡大前)より低い結果。2021年(拡大1年後)の新入生の抑うつ、不安症状は、2020年(拡大直後)より高くなり、2019年(拡大前)の水準に戻った。学業に関するストレスは、2020年(拡大直後)の新入生が最も高く、2021年(拡大1年後)は2019年(拡大前)の水準に戻った。(上図参照)
 死にたい気持ち(希死念慮)を強く抱える学生の割合は年々増加傾向。(上表参照)

 報告は、「COVID-19感染拡大の影響で、大学1年生の平均メンタルヘルスは悪化し、その後感染拡大前のレベルに回復した。しかし、自殺念慮のあるハイリスクの学生の数は増え続けた。リスクの高い学生を早期に発見し、支援するためのシステムが必要」とまとめている。


「Lingering effects of COVID-19 on the mental health of first-year university students in Japan」
 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0262550