歩行速度の低下は、高齢者の「日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)」の低下よりも数年先行する!

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 ブラジルのサンカルロス連邦大学Dayane Capra de Oliveira氏らの報告。2021年9月29日「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に掲載。

 「英国加齢縦断研究」に参加者した、研究開始時にフレイルでなく、基本的日常生活動作能力(BADL:Basic Activity of Daily Living)障害のない1,522人(68.1±6.2歳、52.1%が女性)、および手段的日常生活動作能力(IADL:Instrumental Activities of Daily Living)障害のない1,548人(68.1±6.1歳、50.6%が女性)が対象。12年にわたり追跡した調査。フレイルは、Fried etal(「体重減少」、「易疲労感」、「身体活動性の低下」、「歩行速度の低下」、「筋力低下」の5項目)を使用して分析。BADLとIADLは、KatzとLawtonのスケールを使用して評価。

 男性は「身体活動性の低下」、「歩行速度の低下」、「易疲労感」がBADLおよびIADL障害のリスクを高めた。
 女性は、「歩行速度の低下」、「易疲労感」がBADL障害のリスクを、「身体活動性の低下」、「歩行速度の低下」、「易疲労感」がIADL障害の発生のリスクを高めた。
 「歩行速度の低下」は、BADLとIADL低下の予測因子であることが示された。

 報告は、「歩行速度の低下は、高齢者のADL低下の前兆。日常生活動作での困難があらわれてからでは対応が遅れることも考えられることから、歩行速度による、よりシンプルで安全で、安価な方法を提供することが重要」とまとめている。

「Is slowness a better discriminator of disability than frailty in older adults?」
 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.12810


〔参考〕