日本人の年齢・性別による大腿四頭筋の筋肉量と質の違いが明らかに!(国立長寿医療研究センター、東海国立大学機構名古屋大学)

 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究。サルコペニアのより的確な診断方法を検討するため、大腿中央部を撮影したCT画像より計測される大腿四頭筋の筋肉の量、質に注目し、性別・年代別での違いや膝伸展筋力との関係性について明らかにした。研究成果は、国際科学誌「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」のweb版に2021年5月19日に掲載。

 1997年より継続実施されている「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)のうち第七次調査(2010~2012年)を利用した研究の一環として実施。対象は、520人の中高年の地域住民(男性273人、女性247人、平均年齢 63.1歳)。右大腿中央部CT画像を撮影し、専用のCT画像解析ソフトを利用し、大腿四頭筋全体や4つの構成する筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)と筋間脂肪別に筋断面積(筋肉の量の指標)、CT値(筋肉の濃度、筋肉の質の指標)を計測。(下図参照)

 年齢、性別、身長、BMI、既往歴、喫煙歴、アルコール摂取量、食事摂取量、身体活動量などの参加者の背景因子と、握力、膝伸展筋力、DXA 法にて計測した全身筋量などのサルコペニアと関連のある測定項目を利用して解析した結果。

以下結果(抜粋)

・ 筋断面積、CT値は多くの場合で男性が女性よりも高い数値を示すことが判明。しかし、大腿直筋ではCT値に男女差を認めないなど他とは異なる特徴を認めた。
・ 男性は断面積もCT値も高齢になると加速度的に低値を示すようになることが判明。男性と女性では加齢が筋肉に与える影響の程度が異なると推測される。(下図参照)

・ 大腿四頭筋は膝を伸ばす際にはもっとも大きな役割を果たす筋肉であるために、膝伸展筋力との関係を確認。大腿四頭筋全体の断面積、CT値はともに膝の伸展筋力に関連していた。
・ 構成する4つの筋を分けて詳細に検討すると、膝伸展筋力と構成する筋肉の関係性は男女で異なることが判明。女性において中間広筋のCT値が関係を示すなど、筋量を表す断面積のみでなく、筋質を表すCT値においても、大腿四頭筋毎に異なるという特徴を認めた。


「日本人の年齢・性別による大腿四頭筋の筋肉量と質の違いを明らかにしました」(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学)
 https://www.ncgg.go.jp/hospital/locomo_frail/news/20210614.html

「Differences in the mass and quality of the quadriceps with age and sex and their relationships with knee extension strength」
 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.12715


〔管理者コメント〕

 大腿部前部の筋力トレーニング等については、本サイト内
(解説)大腿部前部(ふともも)の筋力トレーニングは異なる2種類の運動をバランスよく行うことが大切(healthy-life21.com)
 https://healthy-life21.com/2021/04/01/20210401/
(解説)大腿部前部の筋力トレーニングが大切な理由(healthy-life21.com)
 https://healthy-life21.com/2020/01/15/20200115/
(解説)フレイル、ロコモティブシンドローム、サルコペニアを予防するための身体活動の取り組みのポイント(healthy-life21.com)
 https://healthy-life21.com/2020/01/14/20200114/
を参考に!