(解説)大腿部前部の筋力トレーニングが大切な理由(healthy-life21.com)

 下図は、「日本人筋肉量の加齢による特徴」(日老医誌 2010;47:52―57)の報告から「回帰式による 20歳時と 80歳時の推定筋肉量」をグラフ化したもの。

 全身の筋肉量の低下は下肢筋肉量の低下による影響が大きいことが見て取れる。

 次に、下図は脚の筋力の低下を大腿部前部、大腿部後部、下腿部前部、下腿部後部で比較したグラフ。加齢による筋肉量の低下は他の部位と比較すると大腿部前部の筋肉量の低下が著しいことがわかる。

 原因は、大腿部前部の速筋繊維※1が廃用性委縮※2により選択的に低下した結果と考えられる。

 以上により、加齢に伴う筋肉量の低下を予防するには、スクワット(立ち座り運動)や階段の積極的な利用などを中心に大腿部前部の速筋繊維の低下を予防する筋力トレーニングを行うことが望ましいといえる。

※1 速筋繊維
 速い速度で収縮し、大きな力を瞬間的に発揮する瞬発力に優れた筋肉。対して遅い速度で収縮し、小さな力を長時間発揮し続けることができる持久力に優れた筋肉を遅筋繊維という。成長を終えた段階で大腿部前部は速筋繊維の割合が高いと考えられている。
※2 廃用性萎縮
 使わないことにより萎縮(退化)すること。「身体(筋肉)の機能は適度に使うと発達し、使わなければ萎縮(退化)し、過度に使えば障害をおこす」(ルーの法則)。