(解説)新型コロナウイルスの影響で新しい生活習慣になっても「1日8,000歩、そのうち20分の速歩」が健康づくり身体活動の質量の目安である ことに変わりはない!! (healthy-life21.com)

 新型コロナウイルス感染症対策として、三つの密(密閉、密接、密集)を避けた日常生活、テレワークやオンライン会議などの働き方スタイルなど「新しい生活様式」への対応が求められています。

 生活習慣に大きな変化が生じる時は、対応が不十分だと著しく健康を害する恐れが高くなります。このような時は、健康づくりの基本である「適正体重の維持」、「バランスのとれた食事」、「適度な身体活動」、「適正飲酒」、「適度な睡眠」、「禁煙」などを心がけながら適切に変化に対応することが大切です。

 「適度な身体活動」の最も基本となる目安は「歩行の質量」です。「新しい生活様式」により「歩行の質量」がマイナスに陥らないように工夫して「新しい生活習慣」を構築しましょう。


 電車通勤のビジネスマンの歩行の量は、少なく見積もっても、通勤片道15分、往復30分で約3,500歩。職場での会議や打ち合わせ、コピー、トイレや昼食時などの移動で約3,000歩。出勤前後の自宅内での移動等で約1,500歩。合計1日約8,000歩程度。また、歩行の質は、通勤時の速足、駅や職場での階段の利用など中強度の身体活動が20分程度は含まれていることも想像できます。

 このビジネスマンの会社が、新型コロナウイルス対策で新しい働き方を導入。週5日の出勤を、週1日の出勤と週4日の在宅ワークにすれば、通勤は4日減り、歩数は1週間当たり14,000歩、1日当たり平均2,000歩減ります。通勤は25歩あたり1kcalの速歩と仮定してエネルギー消費量を求めると80kcal。これを体脂肪(体脂肪1g=7kcal)に換算すると1日あたり11.4g、1ヵ月で342g。3ヵ月では1kg以上体脂肪が蓄積されることになります。同時に、速歩や階段の利用などの中強度の身体活動はなくなり脚の筋肉への刺激も失われます。

 下図は、統計的かつ臨床的に有意な健康上の効果を得るために必要な歩行の質と量を示したエビデンス(科学的根拠)レベルの高い報告です。健康状態を良好に保つためには「1日8,000歩、そのうち20分の中強度活動(速歩)」、膝や腰に痛みのある方や75歳以上の方は「1日5,000歩、そのうち7.5分の中強度活動(速歩)」を目安に健康づくりをすすめることを推奨しています。

 先のビジネスマンの例では、出勤日は概ね健康状態を良好に保つために必要な歩行の質量を満たしていたと考えられますが、在宅勤務導入後は、健康を害するリスクの高い状態です。

 「新しい生活様式」前後の歩行の質量を把握して、マイナスに陥らないように、外出する、散歩に出る、ウォーキングを行うなどの調整をして「新しい生活習慣」を構築しましょう。