場所への愛着は歩行習慣にポジティブな影響を与え、場所への愛着と歩行習慣は近隣の歩きやすさと関連!(北陸先端科学技術大学院大学)

(アイキャッチ画像は、本文とは直接は関係ありません)

 北陸先端科学技術大学院大学 創造社会デザイン研究領域 KOOHSARI MohammadJavad 氏らの研究グループの報告。2023年4月18日北陸先端科学技術大学院大学ホームページにて公表。研究成果は2023年4⽉8日「Landscape and Urban Planning」に掲載。
 
 カナダのカルガリー在住の1,800名の成人が対象。居住地域に関連した場所への愛着が、余暇や移動に伴う歩行習慣に代表される人々の身体活動にどのような影響を及ぼすかについて検証。
 余暇や移動のための歩行、さらに高強度の身体活動を指標として使用。場所への愛着に関しては、「場所アイデンティティ」(人々の日常生活における場所の重要性を反映)および「場所依存」(人々が楽しむ日常生活を営むためにその場所に依存する程度を表す)の概念を測定。さらに、「ウォカビリティ」(近隣の歩きやすさ)に関する認知についても評価し、場所への愛着と歩行習慣との関連が、近隣の歩きやすさの捉え方によってどのように形成されるのかを検証。

 結果、「場所アイデンティティ」と「場所依存」の両方の概念が、余暇のためにウォーキング、移動のために歩いたりする行為に関わっていることを示唆。さらに、近隣の歩きやすさを自覚することが、場所への愛着と身体活動との関連を媒介することがわかった。

 報告は、「対象者の歩行習慣は、場所への愛着と正の相関があることを確認。さらに、歩行習慣と場所への愛着の関連は、近隣の歩きやすさを認知している人ほど強いことが分かった。環境への認知を変えることで、人々の身体活動を効果的に高めることが期待できる」とまとめている。


「親しみのある道を歩く:場所への愛着が人々の歩行習慣を促す仕組みについての考察」(北陸先端科学技術大学院大学)
 https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2023/04/18-1.html
「Place attachment and walking behaviour: Mediation by perceived neighbourhood walkability」(Landscape and Urban Planning)
 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0169204623000865


〔参考〕

 上記報告と直接は関係ないが、千葉大学 健康都市・空間デザインラボは、身体活動を促すまちづくりの考え方を、34のキーワードを通じて図や写真とともに紹介しており、参考にしたい。全90頁、WEB版とPDF版で公開。

「身体活動を促すまちづくりデザインガイド」(千葉大学 健康都市・空間デザインラボ)
 https://hpd.cpms.chiba-u.jp/activeguide/