運動習慣がない人は、日常生活における1回1~2分間、1日3回の非常に速く歩く、階段を上るなどの高強度の身体活動で、死亡リスクが大幅に低下

(アイキャッチ画像、上図は本文とは直接は関係ありません)

 オーストラリア・シドニー大学の Emmanuel Stamatakis 氏らの報告。2022年12月8日「Nature Medicine」に掲載。

 英国バイオバンク(遺伝や環境が疾患に及ぼす影響を調査する長期大規模コホート研究。2006~10年に英国在住で37~73歳の50万人以上が登録)の非運動者25,241人 (平均年齢 61.8歳、女性14,178人/男性11,063人) が対象。日常生活の一環として行われる断続的な高強度の身体活動(VILP:Avigorous intermittent lifestyle physical activity)を手首装着型の加速度計で計測して、全死亡、がん、心血管疾患による死亡リスクを平均6.9年追跡して検討。

結果

 期間中に852例が死亡(心血管疾患死266例、がん死511例)。高強度の身体活動(VILPA)の実施時間は、ほぼ全てが1回1~2分(1分以下92.3%、2分以下97.7%)で、中央値で1日当たりの実施時間は4.4分、実施頻度は3回だった。

 非常に速く歩く、階段を上るなど、日常生活の一環として行われる断続的な高強度の身体活動を全く行わない群と比較して、対象の中央値の1日3回(各1分または2分)日常生活の一環として行われる断続的な高強度の身体活動を行った群は、全死因およびがんの死亡リスクが38%~40%、心血管疾患の死亡リスクが48%~49%減少。さらに、1日あたり4.4分行った群は、全死因およびがんの死亡リスクが26%~30%、心血管疾患の死亡リスクが32%~34%減少。

 これらの死亡リスクの低下効果は、運動の習慣がある英国バイオバンク参加者6万2,344人(平均年齢61.1歳、男性43.4%)における高強度の身体活動(VPA:vigorous physical activity)による効果とほぼ同等だった。

 報告は、「運動の習慣がない者における日常生活の一環として行われる断続的な高強度の身体活動は、運動の習慣がある者における高強度の身体活動と同様の効果をもたらすことが示唆された」とまとめている。


「Association of wearable device-measured vigorous intermittent lifestyle physical activity with mortality」
 https://www.nature.com/articles/s41591-022-02100-x