果物およびフラボノイドの豊富な果物にうつ病発症リスクの低減を確認(多目的コホート研究)

 多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。2022年11月15日ホームページにて公表。研究成果は2022年9⽉26⽇「Translational Psychiatry」に掲載。

 平成2年(1990年)時点で長野県佐久保健所管内の南佐久郡8町村に在住の40から69歳の約1万2千人のうち、1995年と2000年に行った2回の食事調査アンケートに回答があり、かつ2014年から2015年にかけて実施した「こころの検診」に参加した1,204人が対象。

 2回のアンケート結果から、野菜、果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量の平均値を計算してそれぞれについて人数が均等になるように5グループに分け、摂取量が最も少ないグループを基準に、他のグループのうつ病の発症リスクを比較検討。また、野菜・果物に関連する栄養素として、α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、葉酸の平均摂取量とうつ病との関連も比較検討。

 結果

 1,204人のうち、93人がうつ病(認知症を合併している人は除外)と診断された。

 解析の結果、ジュースを除く果物の摂取量が最も少ないグループ(Q1)と比較して、摂取量が最も多いグループ(Q5)のうつ病のオッズ比は0.34(95%信頼区間:0.15-0.77)。フラボノイドの豊富な果物の摂取量が最も少ないグループ(Q1)と比較して、摂取量が最も多いグループ(Q5)のうつ病のオッズ比は0.44(95%信頼区間:0.20-0.97)。(上図参照)

 一方、野菜ならびに関連栄養素の摂取量と、うつ病との間には関連がみられなかった。

 報告は、「果物およびフラボノイドの豊富な果物の摂取量が多いほど、うつ病が発症するリスクが低いことが分かった。果物・フラボノイドの豊富な果物の両方に、うつ病の予防効果があったことから、フラボノイド固有のメカニズムというよりは果物全体が持つ抗酸化作用などの生物学的作用が効果につながったと考えらる。一方、野菜や関連する栄養素とうつ病との関連は見られなかった。理由は明らかではないが、野菜とうつ病に関連している要因を除外しきれなかったなどが考えられ、今後のさらなる研究が必要と考えらる」とまとめている。


「野菜・果物およびフラボノイドの豊富な果物とうつ病との関連について」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/9026.html
「Association between vegetable, fruit, and flavonoid-rich fruit consumption in midlife and major depressive disorder in later life: the JPHC Saku Mental Health Study」
 https://www.nature.com/articles/s41398-022-02166-8