千葉大学予防医学センター 中込 敦士准 氏らの報告。2024年6月13日 千葉大学社会予防医学研究部門のホームページで公表。研究成果は2024年5月24日「JAMA Network OPEN」に掲載。
日本老年学的評価研究(JAGES:Japan Gerontological Evaluation Study)が実施した65歳以上の高齢者を対象とした自記式郵送調査を使用。脳卒中、心臓疾患、癌、日常生活動作(ADL:activities of daily living)低下者を除く37,604人(平均73.5歳[SD 5.9歳]、女性21,073人[56.0%])が対象。2010年から約6年間追跡。社会的孤立は、1 独居、2 社会参加が週1回未満、3 友人と会う頻度が月1回未満、のうち2つ以上が該当する場合と定義。孤立10,094人、非孤立27,510人が該当。
結果
追跡調査期間中に、総死亡3,568人(9.5%)、心血管疾患による死亡419人(1.1%)、癌による死亡1,463人(3.9%)を確認。
解析の結果、社会的孤立者ではそうでない方と比較して総死亡リスクが1.20倍、心血管疾患死亡リスクが1.22倍、癌死亡リスクが1.14倍と推計。さらに、社会的孤立の影響を特に受けやすいのは高収入・都市部在住・非婚姻・退職後の高齢者であると推測。(上図参照)
報告は、「本研究は、社会的孤立は総死亡・心血管疾患死亡・癌による死亡と関連していることが分かった。またその影響は人により異なる可能性が示唆された。今後の施策や介入の優先すべきターゲットの検討に役立つ可能性がある」とまとめている。
「社会的孤立者では総死亡リスクが1.20倍、心血管疾患死亡リスクが1.22倍、癌死亡リスクが1.14倍」(千葉大学予防医学センター)
https://spms.faculty.gs.chiba-u.jp/news/202406/240613
「Sociodemographic Heterogeneity in the Associations of Social Isolation With Mortality」(JAMA Network OPEN)
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/article-abstract/2819250