食事のGIおよびGLと死亡リスクとの関連について(多目的コホート研究)

 多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)からの報告。 2021年6月22日「Eur J Nutr. 」にWeb先行公開。

 炭水化物は、重要なエネルギー源のひとつだが、摂取による血糖値の上昇は、様々な慢性疾患に影響する可能性がある。そこで、食事に含まれる食品が、食後の血糖値をどの程度上昇させるかを表す指標であるGI※1とGL※2と慢性疾患の関係について調査。

 平成2年(1990年)に岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、平成5年(1993年)に、新潟県長岡、茨城県水戸、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所管内(呼称は2019年現在)在住の方々のうち、平成7年(1995年)と平成10年(1998年)にアンケート調査に回答してた45〜74歳の72,783人(男性32,050人、女性40,733人)を対象に平成27年(2015年)まで追跡調査を実施。

 対象者のアンケート調査の回答から、食事のGI値およびG値Lを算出。それぞれの値に基づいて4つのグループ(Q1:最も低い~Q4:最も高い)に分け、最も低いグループを基準として、その後の全死亡および主要な死因別にみた死亡リスクとの関連を検討。

 平均約17年の追跡期間中に、12,448人(男性: 7,535人、女性:4,913人)の死亡を確認。

 GI値は、最も低いグループと比較して、最も高いグループは、全死亡で14%、循環器疾患で28%、心疾患で33%、脳血管疾患で32%、呼吸器疾患で45%高い結果(上図左参照)。がん、消化器疾患の間に関連はみられなかった。
 GL値は、最も低いグループと比較して、最も高いグループは、循環器疾患で24%、脳血管疾患で34%、呼吸器疾患で35%高い結果。全死亡、心疾患の間に関連はみられなかった(上図右参照)。がん、消化器疾患の間に関連はみられなかった。
 男女別に行った解析でも、同様の結果。

 報告は、「先行研究結果と同様に、GI値、GL値が高いと循環器疾患のリスクが高いことを確認。このことは食後の高血糖と高インスリン血症が、循環器疾患の発症に重要な役割を果たしていることをしめしている。GI値が高い食事は血管内の血栓の形成や血管内皮の炎症につながることが報告されている。さらに血糖値が上昇し、血糖値を下げる働きを持つホルモンであるインスリンが多く分泌される状態が長く続くと、中性脂肪やLDLコレステロール値が高くなる。また、収縮期血圧が上昇するという報告もある。これらのメカニズムにより、循環器疾患や心疾患、脳血管疾患のリスクが高まると考えられる。また、高血糖が身体内の炎症や酸化ストレスを誘発し、呼吸器の機能低下につながる可能性も考えられる」とまとめている。

※1 GI(Glycemic Index:グリセミックインデックス)
 食事全体に含まれる炭水化物による食後血糖値の上がりやすさを示す指標で、摂取される炭水化物の質を表す。血糖値を短時間で高い値に上昇させる食品が多い食事をしている場合、食事のGIが高いといえます。血糖を上げやすい炭水化物を含む食品には、白米、食パン、もち、じゃがいも等がある。

※2 GL(Glycemic Load:グリセミックロード)
 食事の中で摂取される炭水化物の質と量とを同時に示す指標。例えば、血糖を緩やかに上昇させる食品が多い食事内容であっても、摂取量が多ければ食事のGLは高くなる。逆に、血糖を急激に上昇させる食品の摂取が多い食事であっても、摂取量が少なければ食事のGLは低くなる。


「食事のGIおよびGLと死亡リスクとの関連について」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8784.html
「Dietary glycemic index, glycemic load and mortality: Japan Public Health Center-based prospective study」
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34159430/


〔管理者コメント〕

 徹底した糖質制限の取り組みの良し悪しの議論は別にして、現在の一般的な食生活では「ロカボ」程度までの範囲内での糖質制限は必要に感じる。

「ロカボ」オフィシャルサイト
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