高齢者の9年間の死亡リスクは、持ち家に住んでいるが最も低く、次に公的な賃貸住宅が低い!民間の賃貸住宅に比べ、公的な賃貸住宅は28%低い結果 (東京大学先端科学技術研究センター 他)

 東京大学先端科学技術研究センター 古賀 千絵 氏、千葉大学予防医学センター 花里 真道 氏 らの研究チームの報告。2024年4月11日、12日に双方の公式ホームページで公表。研究成果は2024年3月30日「Scientific Reports」に掲載。

 日本老年学的評価研究(JAGES:Japan Gerontological Evaluation Study)の65歳以上の高齢者を対象に行った、自記式郵送調査を使用。9市町村の4万4007人の65歳以上の高齢者を2010年から約9年間追跡。住宅の種類(持ち家、民間賃貸住宅、公的賃貸住宅、その他の賃貸住宅に分類)と死亡リスクの関連を検証した結果。

 追跡調査期間中に、10,638人(24.2%)が死亡。

 持ち家居住者で、死亡リスクが最も低い結果。一方、3種類の賃貸住宅居住者のうち、所得など関連が考えられる要因を考慮後も、民間賃貸住宅やその他の賃貸住宅に比べ、公的賃貸住宅居住者は、死亡リスクが最も低いという結果。賃貸住宅間では、公的賃貸住宅居住者の死亡リスクは、民間賃貸住宅居住者と比較して28%低い結果。(上図参照)

 報告は、「公営・公団・公社などの賃貸住宅に居住するうちの7割がUR(Urban Renaissance Agency)都市機構による団地(旧住宅公団による団地)に居住していた。UR都市機構によって開発された大規模な団地は、コミュニティの育成を目指した近隣住区論をベースに、街路や公共施設、公園などが計画的に配置され、建物の隣棟間隔やオープンスペース、街路樹など、空間の快適性を考慮した整備が進められてきた。公営賃貸住宅が有する住環境が、死亡リスクの低さに影響した可能性がある」とまとめている。


「民間の賃貸住宅に比べ、公的な賃貸住宅に住んでいる高齢者は9年間の死亡リスクが28%低い」(東京大学先端科学技術研究センター)
 https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/report/page_00318.html
「”民間賃貸に比べ、公的賃貸住宅に居住する高齢者の9年間の死亡リスクが28%低いこと”を論文発表しました」(Healthy Place Desigh Lab.Chiba University)
 https://hpd.cpms.chiba-u.jp/koga-scientific-reports-2024/
「Living in public rental housing is healthier than private rental housing a 9-year cohort study from Japan Gerontological Evaluation Study」(Scientific Reports)
 https://www.nature.com/articles/s41598-024-58244-y