高齢で貧血と筋力低下が組み合わさると死亡リスクが高くなる

 ブラジルのサンカルロス連邦大学 Mariane Marques Luiz 氏らによる報告。「Archives of Gerontology and Geriatrics Volume 102, September–October」に掲載。

 英国加齢縦断研究 (ELSA:English Longitudinal Study of Aging) の 5,310人の高齢者が対象。貧血 (ヘモグロビン濃度男性13.0g/dL未満、女性12.0g/dL未満)、筋力低下 (握力男性26kg未満、女性16kg未満)を基準に「非貧血/非筋力低下」群、「筋力低下」群、「貧血」群、「貧血/筋力低下」群に分類。10年間の全死因死亡率と比較検討。

 ベースライン時、「非貧血/非筋力低下」群84%、「筋力低下」群10.7%、「貧血」群3.8%、「貧血/筋力低下」群1.5%。フォローアップ中に合計984人の死亡を確認。性別で層別化した調整済みCox比例ハザードモデルは、「貧血/筋力低下」群が、男性 (HR: 1.64; 95%CI 1.08–2.50)、女性 (HR: 2.17; 95% CI 1.44 – 3.26) 。男性の「貧血」群(HR: 1.68; 95%CI 1.22–2.32) 。女性の「筋力低下」群 (HR: 1.37; 95% CI 1.09–1.72) も死亡の危険因子だった。(上図参照)

 報告は、「貧血と筋力低下の共存は死亡リスクを高める。死亡リスクを軽減するためにこれらの状態を早期に特定、予防、治療する必要性がある」とまとめている。


「The combined effect of anemia and dynapenia on mortality risk in older adults: 10-Year evidence from the ELSA cohort study」
 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167494322001200?via%3Dihub