男性は若年期心肺機能が高いと後年9種類のがんのリスクが低い結果

 スウェーデンのヨーテボリ大学 Aron Onerup 氏らの報告。研究成果は2023年8月15日「British journal of sports medicine」に掲載。  

 スウェーデン国軍の兵士を対象とする大規模なコホート研究のデータを解析した結果。1968~2005年に徴兵された16~25歳(平均18.3±0.7歳)の男性からデータ欠落者等を除外した107万8,000人が対象。
 心肺機能は、自転車エルゴメーターによる最大有酸素摂取量測定により評価。低・中・高の3群に分けて、18種類の部位別がんリスクとの関連を検討。

結果

 平均33年の追跡で、8万4,117人が何らかのがんを診断されていた。

 心肺機能が高い群は、低い群を基準とすると、頭頸部(n=2738、HR 0.81、95%CI 0.74~0.90)、食道(n=689、HR 0.61、95%CI 0.50~0.74)、胃(n=902、HR 0.79、95%CI 0.67~0.94)、膵臓(n=1280、HR 0. 88、95%CI 0.76~1.01)、肝臓(n=1111、HR 0.60、95%CI 0.51~0.71)、結腸(n=3222、HR 0.82、95%CI 0.75~0.90)、直腸(n=2337、HR 0. 95、95%CI 0.85~1.05)、腎臓(n=1753、HR 0.80、95%CI 0.70~0.90)、肺(n=1635、HR 0.58、95%CI 0.51~0.66)の9種類のがんで有意なリスク低下が認められた。しかし、前立腺(n=14 232、HR 1.07、95%CI 1.03~1.12)、悪性皮膚(n=23 064、HR 1.31、95%CI 1.27~1.36)では、有意にリスクが高かった。報告では、前立腺がんについては退役後のスクリーニング頻度が高いことにより早期発見が増加。皮膚がんについては兵役期間中の日光への曝露の影響が考えられるとしている。(上図参照)

 報告は、「健康な若い男性の高い心肺機能は、調査した18の種類がんのうち9種類のがんのリスク低下と関連。特に消化管のがんリスクが低かった。これらの結果は、若者の心肺機能向上を目的とする介入促進の根拠となり得るのではないか」とまとめている。


「Associations between cardiorespiratory fitness in youth and the incidence of site-specific cancer in men: a cohort study with register linkage」(British journal of sports medicine)
 https://bjsm.bmj.com/content/57/19/1248.long