日本におけるTwitter(現「X」)上のがんに関する情報の4割超が誤情報で、3割超が有害情報(名古屋市立大学病院 他)

 名古屋市立大学病院 の 呉山 菜梨 氏らの研究グループによる報告。研究成果は2023年9月6日「JMIR Publications」に掲載。

 Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿されたツイートより、(1)がんの発生に関する言及またはがんの予後、(2)行動の推奨または非推奨、(3)がん治療の経過または有害事象への言及、(4)がん研究の結果、(5)その他のがん関連の知識および情報を含むツイートを抽出。抽出されたツイートは合計69,875件。適格基準を満たし、最も「いいね!」が多かったがん関連ツイートの上位 100件について、国内のがんセンターまたは大学病院で臨床に携わる医師である2名の独立したレビュアーが、情報が事実か誤情報か、有害か安全かを、併せて誤情報と有害なツイートについてはその判断理由とともに評価。

 以下主な結果

・ 上位ツイート100件のうち、誤った情報が含まれていたのは44件(44%)、有害な情報が含まれていたのは31件(31%)、誤った情報と有害な情報の両方が含まれていたのは30件(30%)。(上図参照)
・ 有害な情報は安全な情報よりも「いいね」の頻度が高かった。
・ 誤った情報は正しい情報よりも大幅にリツイートされていた。
・ 有害な情報は安全な情報よりも大幅にリツイートされていた。

 報告は、「日本では、Twitter上でがんに関連する誤った情報や有害な情報が蔓延していることが明らかであり、この問題に関するヘルスリテラシーと意識を高めることが極めて重要。さらに、患者とその家族が正しい情報に基づいた意思決定を行えるよう、政府機関や医療専門家が正確な医療情報を提供し続けることが重要である」とまとめている。


「Fact-Checking Cancer Information on Social Media in Japan: Retrospective Study Using Twitter」(JMIR Publications)
 https://formative.jmir.org/2023/1/e49452