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国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科の 糸数 昌史 氏らの報告。詳細は、2022年10月11日「Environmental Research and Public Health」に掲載。
2021年6月から2022年1月に栃木県大田原市のフレイル健診を受診した高齢者で研究協力の得られた人のうち男性(少数のため)とデータが欠落している人を除外した合計192人の女性 (平均年齢:79.2±7.2歳)が対象。握力、ふくらはぎ周囲長、歩行速度、骨格筋量 等を測定。基本チェックリストを用いて身体的、社会的、心理的/認知的なフレイルを調査。アイフレイルの評価には、アイフレイルセルフチェックを使用。アイフレイルと身体的、社会的、心理的/認知的弱さの関係を比較検討。
主な結果
アイフレイルセルフチェックの10項目(目が疲れやすくなった、夕方になると見えにくくなることがある、信号や道路標識を見落としたことがある など)のうち2問項目以上に「はい」と答えた場合をアイフレイルと判定すると、74.5%とほぼ4人に3人が該当。
アイフレイル群はアイフレイルでない群と比較すると、年齢やBMI、骨格筋指数(SMI)、ふくらはぎ周囲長、握力には有意差がなかったが、歩行速度はアイフレイル群の方が有意に遅かった(1.30±0.22対1.20±0.34m/秒、P=0.02)。
基本チェックリストは、アイフレイルと有意な関係を確認。基本チェックリストの7項目との関係については、閉じこもり傾向(オッズ比(OR)2.437、95%信頼区間1.145-5.188)、認知機能(OR2.047、95%CI1.051-3.984)、こころの健康状態(OR1.820、95%CI1.163-2.848)において有意だった。
報告は、「アイフレイルセルフチェックの有効性が実証され、地域に住む高齢者の目の虚弱の有病率は74.5%であり、基本チェックリストの閉じこもり傾向、認知機能低下、こころの健康状態との関連性が高かった。この予備研究は、目の虚弱な高齢者の特徴と、身体的および社会的虚弱および認知精神的側面との関係に関するさらなる研究の基礎を提供すると考えている」とまとめている。
* アイフレイル
「加齢に伴って眼が衰えてきた上に、さまざまな外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態」(日本眼科啓発会議)
「Relationship between Eye Frailty and Physical, Social, and Psychological/Cognitive Weaknesses among Community-Dwelling Older Adults in Japan」(Environmental Research and Public Health)
https://www.mdpi.com/1660-4601/19/20/13011
〔参考〕
アイフレイルに関するおすすめのホームページ
日本眼科啓発会議 アイフレイル啓発公式サイト
https://www.eye-frail.jp/