サルコペニア初期の身体活動レベルおよび認知機能を改善し、慢性疾患をよりよくコントロールする介入は、サルコペニアの進行を打ち消すのに役立つ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のCaterina Trevisan氏らの報告。2021年11月30日に「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」に掲載。

 スウェーデンの前向き(コホート)研究SNAC-K(Swedish National study on Aging and Care in Kungsholmen)に参加した3,219人(60歳以上、男性35.8%、地域住民96.4%)が対象。

 サルコペニアをEWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People)基準の修正版に基づいて、「サルコペニアなし」(筋力および筋肉量が正常)、「サルコペニアの可能性あり」(筋力が低く、筋肉量が正常)、「サルコペニアあり」(筋力および筋肉量が低い)に分類。ベースラインおよび12年後まで評価。筋力は握力や椅子からの立ち上がりテスト、筋肉量はふくらはぎの周長長から評価。

 結果

 「サルコペニアなし」が、10年後に「サルコペニアの可能性あり」になる確率は17.1%、「サルコペニアあり」になる確率は5.1%、移行しない確率は40.4%、死亡する確率は21.0%。
 「サルコペニアの可能性あり」が、10年後に「サルコペニアあり」になる確率は5.6%、「サルコペニアなし」に戻る確率は10.7%、移行しない確率は14.5%、死亡する確率は44.2%。身体活動レベルが高い(HR=1. 84、95%CI:1.19-2.84)および認知機能(ミニメンタルステート検査の1ポイント上昇ごとにHR=1.17、95%CI:1.05-1.31)が、「サルコペニアの可能性あり」から「サルコペニアなし」への復帰率の高さと関連(いずれもP<0.05)。
 「サルコペニアあり」4.7 の対象者が10年後に「サルコペニアの可能性あり」に戻れる確率は4.7%、「サルコペニアなし」に戻る確率は3.5%、移行しない確率は3.4%、死亡する確率は70.9%。

 報告は、「サルコペニアは動的な状態であり、特に、初期の段階では双方向に移行する可能性が高い。この時期の身体機能や認知機能を向上させ、慢性疾患をコントロールするための介入は、サルコペニアの進行を打ち消すのに役立つと考えられる」とまとめている。


「Twelve-year sarcopenia trajectories in older adults: results from a population-based study」
 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.12875