脳卒中のトリガーは、「怒り」、「感情的な動揺」、「激しい運動」である可能性

 アイルランド国立大学ゴールウェイ校 Andrew Smyth氏らの報告。2021年12月1日「European Heart Journal」に掲載。

 INTERSTROKE研究のアイルランドを含む32か国にさまざまな民族的背景を持つ13,462例急性の脳卒中患者のデータを用いて、症状の発症から1時間以内のトリガー(症例期間)との関連を解析した結果。

 症例期間中、合計9.2%(n=1,233)が「怒り」または「感情的な動揺」。5.3%(n=708)が「激しい運動」を実施。「怒り」や「感情的な動揺」は、エピソード後1時間の脳卒中のリスクの約30%増加に関連。「激しい運動」は、エピソード後1時間の脳出血のリスクの約60%の増加に関連していた。

 症例期間中の「怒り」または「感情的な動揺」は、すべての脳卒中のオッズの増加と関連[オッズ比(OR)1.37、99%信頼区間(CI)、1.15–1.64]、脳梗塞(OR 1.22、99%CI、1.00–1.49 )、脳出血(OR 2.05、99%CI 1.40–2.99)。「激しい運動」は、脳出血のオッズの増加(OR 1.62、99%CI 1.03–2.55)と関連していたが、すべての脳卒中または脳梗塞とは関連していなかった。(上図参照)

 報告は、「脳卒中を予防する最善の方法は、健康的なライフスタイルを維持し、高血圧を治療し、喫煙しないことだが、急性の怒りまたは感情的な動揺は、すべての脳卒中、虚血性脳卒中、および脳内出血の発症と関連、激しい運動は脳内出血と関連していた。ただ、強調したいのは、短時間の激しい運動は、脳卒中の長期的なリスクを減少させる定期的な身体活動とは異なる」とまとめている。


「Anger or emotional upset and heavy physical exertion as triggers of stroke: the INTERSTROKE study」
 https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article-abstract/doi/10.1093/eurheartj/ehab738/6447061?redirectedFrom=fulltext