「WHO ガイドライン」達成率から見える、日本人の身体活動の実態 -国民の約半数が身体活動不足-(笹川スポーツ財団)

 2021年12月9日公益財団法人笹川スポーツ財団のプレスリリース。

 1992年から隔年で全国の18歳以上を調査対象に、運動・スポーツ実施状況やスポーツ観戦率、スポーツボランティア実施率、好きなスポーツ選手の推移など、国内のスポーツライフの現状を明らかにし、報告書「スポーツライフ・データ」としてまとめている。2020年度調査では、健康づくりに欠かせない身体活動を増やす政策や施策を推進するには、余暇に行う運動・スポーツを含むさまざまな生活場面で、人々はいつ・どれぐらい体を動かしているのかを把握する必要があることから、世界保健機関(WHO) が開発した、人々の日常生活の身体活動を把握するための質問票「世界標準化身体活動質問票(GPAQ:Global Physical Activity uestionnaire)」の質問項目を追加して調査した結果。

結果のポイント

・ WHO身体活動ガイドラインの総身体活動量の推奨基準達成率は53.3%(男性59.6%、女性 46.9%)。最も達成率が低かったのは30歳代女性で37.9%。(上図参照)

・ 座位時間は約5時間半/日、20歳代男女や50歳代男性では平均6時間/日以上。(上図参照)
 これまでに世界62カ国で調査された座位時間の中央値(四分位値)は 4.7時間(3.5-5.1)、高所得国に限定しても 4.9 時間(4.7–5.3)と報告されており、今回の調査で、日本人の座位時間の長さが世界でもトップクラスであることが改めて示された。

 調査委員の鎌田真光氏は、「子育て世代女性におけるガイドライン達成率の低さが際立っており、リフレッシュ効果の大きい「余暇」身体活動の時間が取れていない実態が改めて示された。子育て支援施策が複合的に進められた上で、ソーシャル・マーケティング等に基づき丁寧に対象となる人々への理解を深めて、当事者目線で身体活動の普及戦略が進められることが鍵となるのではないか。また、全世代に共通することとして、新型コロナウイルス感染症の流行下で在宅勤務の広がりや対面での交流機会が減少する中、身体活動・スポーツの普及には、前例がないような取り組みも模索していくことが求められている。ここは一度、基本に立ち返り、相手(支援・普及対象者)を知り、ともに考え、作り上げていくプロセスを大事にしたい」とコメントしてる。

注)WHOの身体活動ガイドラインは、18歳以上の成人に対して、「中強度の身体活動を週に150分、または高強度の身体活動を週に75分、またはこれらと同等の組み合わせ(GPAQ における週600メッツ・分に相当)」を行うことを推奨。GPAQは質問票で、仕事、移動、余暇の3領域と座位に分類し、さらに仕事、移動、余暇の3領域の身体活動は中強度と高強度に分けて身体活動量を把握。


「国民の約半数が身体活動不足-余暇時間の少ない子育て世帯への支援など、全世代に多面的な普及政策を-」(笹川スポーツ財団)(PDFファイル)
 https://www.ssf.or.jp/files/SSF_Release_20211209.pdf


〔参考〕