心血管リスクが高い地域住民において中高強度の身体活動だけではなく低強度の身体活動も脳の体積と関連する!(国立長寿医療研究センター)

 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター牧野 圭太郎 氏らの研究グループの報告。2022年7月13日に「Frontiers in Cardiovascular Medicine」に掲載。

 National Center for Geriatrics and Gerontology–Study of Geriatric Syndromes (NCGG–SGS) に参加した愛知県高浜市在住の60歳以上の心血管疾患のない男女725名が対象。高感度活動量計で計測した日常の身体活動量とMRIにて計測した脳の体積との関連を横断的に分析。

  対象者全体(725名)における強度別の身体活動量(四分位)と脳の体積との関連対象者全体では、皮質灰白質の体積は中高強度の身体活動量と関連し、白質の体積は中高強度と低強度の両方の身体活動量と関連。

 さらに、世界保健機関(WHO)のアルゴリズムに基づき、年齢、性別、糖尿病、喫煙習慣、収縮期血圧、総コレステロール値から個々人の心血管リスクスコア(%)を算出し、そのリスクレベルに従い対象者を低リスク群(10%未満)、中リスク群(10%以上15%未満)、高リスク群(15%以上)に分類して分析。高リスク群(234名)における白質の体積と中高強度の身体活動量と低強度の身体活動量との関連が見られた。(上図参照)

 報告は、「過去の研究において中高強度の身体活動は脳に保護的に作用することが明らかにされていたが、地域在住の高齢者において、身体活動と脳体積の関連は、心血管リスクレベルにより異なっていた。心血管リスクが高い集団にとって、低強度の身体活動量の維持は現実的で達成可能な目標として有用である可能性があり、地域における認知症予防戦略としての活用が期待される」とまとめている。


「心血管リスクが高い地域住民において 中高強度の身体活動だけではなく低強度の身体活動も脳の体積と関連することを見出しました」(国立長寿医療研究センター)
 https://www.ncgg.go.jp/ri/report/20220809.html