嚥下や咀嚼機能の低下、歯の喪失などお口の健康状態が悪化した高齢者は、認知機能が低下するリスクが高い!(東北大学大学院)

 東北大学大学院歯学研究科歯学イノベーションリエゾンセンター地域展開部門 兼 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科健康推進歯学分野の相田潤教授、東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野の木内桜氏らの研究グループの報告。研究成果は、2021年1月30日「Journal of Epidemiology」に掲載。

 2010年、2013年、2016年の日本老年学的評価研究(JAGE:Japan Gerontological Evaluation Study)のデータを使用。ベースライン時点で主観的認知機能低下障害(SCC:subjective cognitive complaints)のない65歳以上の地域在住高齢者1万3,594人(平均年齢は男性72.4歳、女性72.4歳)を対象。口腔状態の悪化(嚥下困難の認識、咀嚼機能の低下、口渇、歯の数)と主観的認知機能障害との関連を6年間追跡調査。

 結果、6年間の追跡期間内に、男性の26.6%と女性の24.9%が主観的認知機能低下障害に該当。主観的認知機能低下障害該当リスクは、嚥下機能低下は、男性で8.8%ポイント、女性で7.7%ポイント、咀嚼機能低下は、男性で3.9%ポイント、女性で3.0%ポイント、口腔乾燥感は、男性で2.6%ポイント、女性で6.4%ポイント、歯を喪失した高齢者では、男性で4.3%ポイント、女性で5.8%ポイント高いことがわかった。(上図参照)

 報告者らは「調査結果は、将来の認知症のリスクを高める自覚的認知機能障害を防ぐために、良好な口腔の健康を維持する必要があることを示唆している」とまとめている。


「Longitudinal association between oral status and cognitive decline by fixed-effects analysis」
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20200476/_article/-char/ja/


〔参考〕