日本人の栄養学的な食事の質、食事の金銭的コスト、食事に由来する温室効果ガスの排出、文化的受容性が最適化されるよう考慮した食事は? -全粒穀類の摂取量の増加と清涼・アルコール飲料、牛肉・豚肉・加工肉の摂取量の削減が必要-(東京大学大学院)

 東京大学大学院医学系研究科の 佐々木 敏 氏、杉本 南 氏らの報告。2022年1月13日「British Journal of Nutrition」に掲載。

 21〜69歳の健康な日本人369人(男性184人、女性185人)を対象に、包絡分析法を応用し、栄養学的な食事の質の向上に加えて、食事の金銭的コストと食事に由来する温室効果ガスの排出量が最小になり、かつ文化的にも受容可能な食品の組み合わせを算出した結果。

 日本人集団において、より持続可能性が高い食事の実現には、清涼・アルコール飲料、牛肉・豚肉・加工肉、調味料類、砂糖・菓子類の摂取量の削減、全粒穀類、乳製品、豆・種実類、果物類、鶏肉の摂取量の増加が必要であることを示した。 (上図参照)

 モデルに従って計算された摂取パターンは、現在の食事と比べて食事の栄養学的な適切さが高い(男性で8%、女性で10%)、一方、金銭的コストと食事由来の温室効果ガス排出量は低くなった(それぞれ、男性で6%と13%、女性で2%と10%)。以上から、摂取パターンを変えることで、複数の条件と両立して、食事由来の温室効果ガス排出量を10%程度削減し得ることが示された。

 報告は、「本研究で示された食事のあり方は、地球の生態学的環境と人々の健康を両立する食システムの実現に向けた、最初のステップになると期待される」とまとめている。


「広報・プレスリリース最新情報(2021年(令和3年))」(東京大学)
 https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/press.html#20220323