オフィス労働者の身体活動量を促進するための包括的かつ多要素アプローチの提案(筑波大学)

 国⽴⼤学法⼈筑波⼤学 中⽥ 由夫 氏らの報告。2022年2⽉15⽇「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載。

 2020年6⽉22⽇に、39〜62歳のオフィス労働者7⼈(⼀般職5⼈[⼥性2⼈、男性3⼈]、管理職2⼈[男性 2⼈])を対象としたフォーカスグループインタビューを実施した結果。

 インタビュー内容は、1 ⾝体活動促進に関する個⼈の現状や認識、2 ⾝体活動促進プログラムとして有⽤かつニーズがあり実現可能性の⾼い推奨要素について聴取。その発⾔内容を⾏動科学理論に基づいて分類。

 調査結果と既存の⾏動科学理論を踏まえると、個⼈レベルでは「能⼒」を刺激する情報提供、社会⽂化環境レベルでは「モチベーション」を⾼めるチーム構築と「機会」を与える雰囲気づくり、物理環境レベルでは「機会」を与えるスタンディングデスクと「モチベーション」を⾼めるポスター、組織レベルでは「モチベーション」を⾼めるインセンティブや役員からのメッセージおよび「機会」を与える職場政策が重要と考えられる結果。これらを包括的に網羅した多要素プログラムを提案。(上図参照)

 報告は、「今後は、この包括的・多要素プログラムの実施の可能性と有効性を検証していく予定。このようなプログラムの導⼊により、オフィス労働者の健康状態および労働⽣産性に好影響をもたらすことが期待される」とまとめている。


「オフィス労働者の⾝体活動量を⾼めるための包括的・多要素プログラムの提案」(国⽴⼤学法⼈筑波⼤学)(PDFファイル)
 https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20220218140000.pdf
「Proposal of a Comprehensive and Multi-Component Approach to Promote Physical Activity among Japanese Office Workers: A Qualitative Focus Group Interview Study」
 https://www.mdpi.com/1660-4601/19/4/2172/htm

※ フォーカスグループインタビュー(FGI:Focus Group Interview)
 少人数の対象者に対し、司会者が座談会形式で調査テーマについて質問し、自由に発言をしてもらう形式のインタビューを行う調査手法


〔管理者コメント〕

 2グループ以上に実施していないフォーカスグループインタビューの精度に疑問は感じるが、提案図に異論はない。組織的に系統だてて達成目標、評価などを明確にして取り組むことが重要。
 ただ、多くの職場では議論さえできていない。自由に議論を高めれば、大きな費用をかけなくても実現できることがたくさん見えてくる。官民を問わず、しがらみや垣根を越えて健康づくりへの取り組みを自由に議論できる環境づくりを!