発がん性物質としてのアルコールの認識(知っていたのは僅か31.8%)とアルコール管理政策 -発がん性物質としての認識率の向上が不可欠 -

 米バージニア大学のKara Wiseman氏らの報告。、2022年2月1日「American Journal of Preventive Medicine」に掲載。

 米国の代表的な横断的な郵便調査であるHealth Information National Trends Survey(HINTS)5 Cycle 4(2020)のデータより2020年2月27日から2020年6月15日に実施した3,865人(52.1%は非飲酒者、19.6%が過去30日間の飲酒者、28.3%がより大量の飲酒者)の回答を解析した結果。

 結果

 アルコールが発がんのリスクを高めることを知っていたのは僅か31.8%。アルコールの種類別では、ワイン20.3%、ビール24.9%、酒31.2%。
 アルコール製品の健康警告ラベル表示は65.1%、飲酒ガイドラインの策定は63.9%で6割以上が支持。対照的にアルコール製品の屋外アルコール広告禁止を支持したのは34.4%にとどまった。

 アルコールの発がんリスクを認識していない人は、アルコールの発がんリスクを認識している人よりも、屋外広告禁止のオッズ比は0.56(95%CI 0.38–0.81)、健康警告ラベルは 0.43(0.26-0.71)、飲酒ガイドラインは 0.46(0.29-0.74)を支持する確率が低かった。(上図左)
 大量飲酒者は、非飲酒者よりも屋外広告禁止のオッズ比は0.41(95%CI 0.29-0.57)、健康警告ラベルは0.59(0.37-0.93)、飲酒ガイドラインは0.60(0.41-0.87)を支持する確率が低かった。(上図右)

 報告は、「アルコールはがんの修正可能な危険因子だが、ほとんどの人はアルコールががんのリスクを高めることに気づいていない。アルコールとがんの関連性の認識は、政策支援と関連している。アルコールとがんの関連性に対する一般の認識が高まると、アルコール管理政策への支持が高まる可能性がある」とまとめている。

「Awareness of Alcohol as a Carcinogen and Support for Alcohol Control Policies」
 https://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(21)00430-X/fulltext


〔管理者コメント〕

 我が国は、酒類の広告審査委員会の示す「酒類に関する酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」
 http://www.rcaa.jp/standard/koukoku.html
に準じて不適切な広告・宣伝やレベル表示を規制しているとのこと。ただ、一部テレビ広告を行なわない時間帯(5時00分~18時00分)など遵守しているとは言い難い広告・宣伝やラベル表示が見られると感じる。