毎日の歩数と死亡率の関係 -特に、身体活動量の少ない人は、わずかな歩数増で死亡リスクが大きく低下-

 米国マサチューセッツ大学アマースト校 Amanda E Paluch 氏らの健康ステップ共同研究(Steps for Health Collaborative)グループの報告。2022年3月2日「The Lancet Public Health」に掲載。

 15件の研究のメタアナリシスの結果。調査開始日は1999年から2018年。サンプル全体の対象者は成人47,471人。平均年齢65.0歳。そのうち3,013人が死亡。追跡期間中央値7.1年。

 全体の1日あたりの歩数の四分位の中央値歩数は、第1分位で3,553、第2分位で5,801、第3分位で7,842、第4分位で10,901。第1分位を基準とした第2分位のハザード比は0.60(95%CI 0.51–0.71)、第3分位は0.55(0.49–0.62)、第4分位は0.47(0.39–0.57)。(上図参照)

 60歳未満、60歳以上で分析した3次スプラインでは、60歳以上では、1日あたり約6,000-8,000歩で横ばいに、60歳未満では、1日あたり約8,000-10,000歩で横ばいになった。(上図参照)

 報告は、「重要なポイントは、特にほとんど活動していない人にとっては、1日当たりの歩数をわずかでも増やすことは健康づくりに効果がある。また1日あたりの歩数が多いほど、死亡リスクは低くなるが、高齢者では約6,000から8,000歩、若年者では8,000から10,000歩で横ばいになる」とまとめている。


「Daily steps and all-cause mortality: a meta-analysis of 15 international cohorts」
 https://www.thelancet.com/journals/lanpub/article/PIIS2468-2667(21)00302-9/fulltext?rss=yes


〔管理者コメント〕

 集団の健康状態の改善を図るならば、明らかに歩数の少ない人達のボトムアップが必要な結果。これまでの、運動を中心とした取り組みを一旦リセットして、「住むだけで健康になれる町」「勤めていれば一定の歩数を満たす職場」など、生活環境改善からのアプローチを!