食物の形状(固体状・液状)を問わず、ゆっくり味わい、よく噛むことは食後のエネルギー消費量を増加させる(早稲田大学 他)

 早稲田大学スポーツ科学学術院の林直亨氏、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の濱田有香氏らの報告。2021年12月9日「Scientific Reports」に掲載。

 先行研究で、固体の食物をよく噛んで食べると、早く食べるよりも食事誘発性体熱産生量(DIT: Diet Induced Thermogenesis)が増加することが報告されている。そこで飲料を摂取する際においても、ゆっくり味わい、よく噛むことがDITの増加をもたらすかを検討した結果。

 被験者は11名(平均年齢23歳)。安静時の値を測定後、全員に日を開けて3回ずつ異なる試行方法で、同じ飲料(20mLのコップに分けた10杯のココア味の飲料:合計200mL)を5分間で摂取。
「対照試行」・・・飲料20mLを30秒毎に1回飲み込むことを10回繰り返した。
「味覚試行」・・・飲料20mLを30秒間口に含んだ後に飲み込むことを10回繰り返して、味わう時間を長くした。
「咀嚼試行」・・・「2」の30秒間口に含んでいる間に1秒に1回噛んでから飲み込むことを10回繰り返して、味わう時間を長くしたうえに咀嚼を加えた。

 それぞれの、食後90分間のDITを測定。「対照試行」は3.4±0.4(1.5–5.9)kcal、「味覚試行」は5.6±0.5(3.2–7.8)kcal、「咀嚼試行」は7.4±0.7(3.6–10.7)kcalを示した。(上図参照)

 報告は、「経口刺激(口の中で食べ物を味わう時間と咀嚼の時間)は食事誘発性体熱産生量を増加させる。ゆっくり味わい、よく噛むことで、過体重や肥満が回避されるのではないかと推測している」とまとめている。


「Chewing increases postprandial diet-induced thermogenesis」
 https://www.nature.com/articles/s41598-021-03109-x