歯数とアルツハイマー病との関連(日本歯科総合研究機構)

 日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らの報告。PLOS ONE誌に2021年4月30日号記載。

 歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータ等を用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集。残存する歯数は「1–9本」「10–19本」「20–28本」。欠損の歯数は「1〜13本」「14〜27本」「28本」に分類して分析。

 主な結果は以下のとおり。

 歯周病と診断された患者でアルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の残存数別に以下のとおり。(上図参照)
 ・ 残存歯数20~28本:1.95%
 ・ 残存歯数10~19本:3.87%
 ・ 残存歯数1~9本:6.86%
 う蝕による抜歯を行った患者でアルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の欠損数別に以下のとおり。(上図参照)
 ・ 欠損歯数1~13本:2.67%
 ・ 欠損歯数14~27本:5.51%
 ・ 欠損歯数28本:8.70%

 歯周病と診断された患者におけるアルツハイマー病のオッズ比(OR)は、残存歯数20~28本の患者と比較し、以下のとおりであり、残存歯数が少ないとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。(上図参照)
 ・ 残存歯数10~19本:OR=1.11(95%CI:1.10~1.13)
 ・ 残存歯数1~9本:OR=1.34(95%CI:1.32~1.37)
 う蝕による抜歯を行った患者におけるアルツハイマー病のORは、欠損歯数1~13本の患者と比較し、以下のとおりであり、欠損歯数が多いとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。(上図参照)
 ・ 欠損歯数14~27本:OR=1.40(95%CI:1.36~1.44)
 ・ 欠損歯数28本:OR=1.81(95%CI:1.74~1.89)

 報告者らは「歯科医院を受診した高齢者において、残存歯数が少なく、欠損歯数が多い患者では、アルツハイマー病リスクが高いことが示唆された」とまとめている。


「Association between number of teeth and Alzheimer’s disease using the National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan」
 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0251056