禁煙することが最重要!禁煙後に体重の増加があっても死亡リスクは大幅に低下!

 オーストラリアWestern Sydney大学のBerheW. Sahle氏らの報告。2021年4月27日のJAMA Network Open誌電子版に掲載。

 オーストラリアで2001年から始まった「Household, Income and Labour Dynamics in Australia(HILDA)サーベイ」のデータを使用。2006年から2014年に参加した18歳以上で、体重、BMI、喫煙習慣に関する情報などがそろっていた人が対象。

 HILDAサーベイに登録した時点の年齢、性別、雇用状況、配偶者の有無、学歴などの情報を収集。年1回、質問票を用いて、過去12カ月間の喫煙習慣と身長・体重に関する情報の自己申告を依頼。また、2~4年ごと半年以上前から、医療従事者に、心血管疾患(CVD)、2型糖尿病、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)であると言われていなかったかどうかを調査。さらに、運動習慣や飲酒習慣に関する情報も収集。死亡については、同国の死亡登録を参照して判定。禁煙後の体重およびBMIの長期的な変化と、CVD、2型糖尿病、癌、COPD、総死亡の関係を検討。

 最終的な対象者は1万6,663人(男性8,082人、女性8,581人)、平均年齢43.7歳(標準偏差は16.3歳)。対象者のうち3,588人(21.5%)は追跡期間を通じて喫煙していた人、7,842人(47.1%)は喫煙したことがない人、5,233人(31.4%)が禁煙した人。平均値6.0年(標準偏差3.8年)の追跡で、1,355人がCVDを、865人が2型糖尿病を、1,387人が癌を、812人がCOPDを発症し、1,889人が死亡。

 主な結果は以下のとおり。

・ 喫煙継続者を基準に比較すると、禁煙後の体重増加はCVD、2型糖尿病、癌、COPDの発症リスクに有意な増加は見られなかった。

・ 死亡のリスクは、体重増加者でも禁煙した人では有意に低下していた。喫煙継続者と比較すると、禁煙者の総死亡のハザード比は、禁煙後に体重が減少した人が0.50(0.36-0.68)、禁煙後も体重は変化しなかった人では0.79(0.51-0.98)、禁煙後に体重が0.1~5.0kg増加した人では0.33(0.21-0.51)、禁煙後に体重が5.1~10kg増加した人では0.24(0.11-0.53)、禁煙後10kg超増加した人では0.36(0.16-0.82)。(上図参照)

・ 禁煙者を対象とし、禁煙後に体重が変化しなかった人と、体重が減少または増加した人を比較しても、CVD、2型糖尿病、癌、COPDのリスク増加は見られなかった。

 報告者らは「禁煙により体重が増加する人は多いが、体重増加は慢性疾患リスク増加とは関連が見られず、禁煙して体重が増加した人でも総死亡リスクは有意に低かった」とまとめている。


「Weight Gain After Smoking Cessation and Risk of Major Chronic Diseases and Mortality」
 https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2779121