1日30分(1日の2%)の運動習慣では健康になれない恐れ!、座ったまま過ごす時間をなるべく減らす!

 グラスゴーカレドニアン大学Sebastien Chastinらの報告。2021年5月17日British Journal of Sports Medicineに記載。

 健康を維持するためには週に150分(週5日、1回30分)程度の運動が推奨されている。しかし、30分は1日のうちのわずか2%にすぎない。1日のうち、たった2%の運動習慣で本当に効果があるのか?英国、米国、スウェーデンの成人130,239人(平均年齢54歳)を対象とした6つの研究から得られたデータをもとに、「中程度以上の活発な身体活動」(早歩きやランニングなど、心拍数を上げる活動)、「歩行などの軽い身体活動」(家事や気軽なウォーキングなど)、「座りがちな行動」などの組み合わせが死亡率にどのような影響を与えるかを調査分析した結果。

 以下は主な結果。

・ 「睡眠」はすべての原因による死亡率とは関連していなかった。

・ 「中程度以上の活発な身体活動」を30分行う効果は、1日の残りの時間の過ごし方で決まる。

・ 1日30分の「中程度以上の活発な身体活動」は、「座りがちな行動」の時間が少ない1日7時間未満の死亡リスクを最大80%減少させたが、「座りがちな行動」が非常に多い1日11~12時間以上の死亡リスクは減少しなかった。

・ わずか数分でも「中程度以上の活発な身体活動」を行った人は、6時間の「歩行などの軽い身体活動」を行っていれば、死亡リスクは30%低下した。

・ 健康を増進し、死亡のリスクを低減するためには、座っている1時間あたり3分間の「中程度以上の活発な身体活動」または12分間の「歩行などの軽い身体活動」を行うことが最適だった。

・ 以上のことから複数の活動の組み合わせにより、早期死亡のリスクが30%減少することがわかった。(下図参照)

・ 2分間の「中程度以上の活発な身体活動」は、4~12分間の「歩行などの軽い身体活動」に相当し、どちらも効果はあったが、「中程度以上の活発な身体活動」を行う方が効率的だった。

 報告者は「座りすぎは、喫煙ほど健康に悪いものではない。しかし、悪いことに変わりはない。座りすぎないことが大切で、重要なのは、座っている時間と身体を動かすことの適切なバランスを見つけることだ」とまとめている。


「Joint association between accelerometry-measured daily combination of time spent in physical activity, sedentary behaviour and sleep and all-cause mortality: a pooled analysis of six prospective cohorts using compositional analysis」
 https://bjsm.bmj.com/content/early/2021/05/09/bjsports-2020-102345