コロナ禍、子どもの摂食障害の「神経性やせ症」が1.6倍に(国立成育医療研究センター)

 国立研究開発法人国立成育医療研究センターが「子どもの心の診療ネットワーク事業」※で行った全国26医療機関が参加した「新型コロナウイルス感染症流行禍の子どもの心の実態調査」の結果。2021年10月21日プレスリリース。

 コロナ流行前の2019年度と比較し、2020年度では神経性食欲不振(神経性やせ症)の初診外来患者数が約1.6倍、新入院者数が約1.4倍に増加していたことが判明。コロナ禍でのストレスや不安が影響していると推測される。(上図参照)

・ コロナ禍で、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加。
・ 子どもの心の診療ネットワーク事業拠点病院から、コロナ禍で神経性痩せ症の患者が重症化し、入院期間が延びているとの報告もあった。
・ 摂食障害の患者のための病床数が不足していることが分かった。摂食障害の病床充足率について回答があった5施設の内、4施設で病床使用率が増加。充足率(現時点で摂食障害で入院している患者数/摂食障害の入院治療のために利用できる病床数×100)が200%を超える施設が2施設あった。

 報告は、「神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがちになる。子どもの食欲や体重の減少に家族や教育機関で気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科、小児科などのかかりつけの医を受診することが必要」とまとめている。


※ 子どもの心の診療ネットワーク事業
 都道府県などの地方自治体が主体となり、事業の主導的な役割を担う拠点病院を中心に、地域の病院・児童相談所・保健所・発達障害者支援センター・療育施設・福祉施設・学校等の教育機関・警察などが連携して子どもたちの心のケアを行っている。また、地域でのよりよい診療のため、子どもの心を専門的に診療できる医師や専門職の育成や、地域住民に向けた子どもの心の問題に関する正しい知識の普及を実施。さらに、地域内のみならず、事業に参加している自治体間の連携も強化され、互いに抱える問題や実施事業に関する情報共有も盛んに行っている。国立成育医療研究センターは中央拠点病院となり、この事業を運営。


「コロナ禍の子どもの心の実態調査 摂食障害の「神経性やせ症」が1.6 倍に」(国立成育医療研究センター)(PDFファイル)
 https://www.ncchd.go.jp/press/2021/211021.pdf