コロナ禍でスマートフォン利用時間が増加し、ゲーム障害、ネット依存傾向の割合は1.5倍以上増加(京都国際先端通信研究所など)

 2021年10月12日 株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR) のプレスリリース。KDDI株式会社、株式会社KDDI総合研究所、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が合同行った調査結果。結果の一部は「Journal of Psychiatric Research」に2021年10月採録。

 2019年12月(コロナ前)と2020年8月(コロナ禍)に、全国の20歳から69歳の男女51,043名を対象にオンラインで、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがスマホ依存 *1 ゲーム障害 *2 、ネット依存*3に及ぼす影響を調査した結果。

・ スマートフォンの利用時間は増加したが、スマホ依存傾向がある人は減少

 コロナ前と比較して、コロナ禍では平日、休日のスマートフォンの利用時間が増加(上図左)。一方、スマホ依存傾向を示す人の数はわずかに減少(上図中)。スマホ依存傾向を判定する指標のうち、「スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない」という項目の平均値が減少、「スマホを手にしていないとイライラしたり、怒りっぽくなる」という項目の平均値は増加(上図右)。

・ ゲーム障害、ネット依存傾向を示す割合の増加

 コロナ禍ではゲーム障害とネット依存傾向がある人を示す割合が1.5倍以上に増加(上図左)。また、ゲーム障害の中核的な症状である「耐性」「離脱症状」も増加(上図右)。これらの症状を持つ人は、ゲームプレイの長さに問題を感じてもゲームをやめにくく、治療にも時間がかかるとされている。また、ゲーム障害に関しては症状の傾向から、一過性の問題ではなく、コロナ禍収束後も持続した問題となる可能性も示唆された。さらに、新型コロナウイルスの感染者は非感染者に比べ、ゲーム障害になるリスクが5.67倍であることを確認。

 報告は、「スマホ依存、ゲーム障害、ネット依存はパンデミックなどの環境変化に大きく影響されるということが分かった。今後も継続的に調査を行い、適切なスマホ利用の啓発を促していく。加えて、2024年度以降に提供開始予定のスマホ依存軽減アプリの開発にも知見を活用していく」とまとめている。

*1 疾病ではないが、スマートフォンの過剰な利用により、体力低下、成績が著しく下がるなど、普段の日常生活に支障をきたしているにも関わらず、使用がやめられず、スマホを使用していないと、イライラし落ち着きがなくなってしまう状態のことを指す。
*2 ゲーム障害とは、ゲーム時間をコントロールできない、他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先してしまうなどの症状があり、健康や人間関係など、社会生活への影響を多大に与える疾患である。
*3 ネット依存はスマホ依存同様、日常生活においてインターネットの使用を優先してしまい、使う時間や方法を自分でコントロールできない状態を指す。


「コロナ禍でスマートフォン利用時間が増加し、ゲーム障害、ネット依存傾向の割合は1.5倍以上増加」(国際電気通信基礎技術研究所)
 https://www.atr.jp/topics/press_211012.html
「Prevalence and risk factors of internet gaming disorder and problematic internet use before and during the COVID-19 pandemic: A large online survey of Japanese adults」
 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022395621004866#appsec1


〔管理者コメント〕

 上記報告とは関係ありませんが、「スマートフォン」?「スマートホン」?どうも「スマートフォン」と表記するようですが、省略形はなぜ「スマホ」!?

「スマートホン」か「スマートフォン」か(NHK放送文化研究所)
 https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20161001_1.html