川崎医科大学健康管理学教室の高尾俊弘氏らの報告。2021年4月1日「Bio Psycho Social Medicine」に掲載。
2017年に川崎医科大学病院で定期健康診断を受けた4,324人から、幸福感に影響を与える可能性のある因子(脳心血管疾患、慢性腎臓病の既往や高血圧・糖尿病・脂質異常症の薬物治療)がある人を除外した2,295人が対象。健診時に把握した生活習慣(特定健診の問診項目および独自の問診データ)と、世界保健機関(WHO)による幸福感の指標「WHO-5」(主観的な幸福感を25点満点でスコア化する評価スケール。研究では全体の上位25%に該当する第3四分位数の16点以上を「幸福感が高い」と判定)との関連を横断的に解析。さらに、2016年に遡って同院で健診を受けてデータの揃っていた対象者については縦断的にも解析。
対象者の年齢は49.3±8.4歳、女性が54.3%、BMI22.67±3.72。WHO-5スコアは12.71±4.97で、年齢と有意な弱い相関関係を確認(r=0.1013,p<0.05)。
「昼食時間の長さ」「塩辛い食べ物の摂取」「野菜の摂取」「主観的な食事の速度」「就寝前2時間以内の夕食」「週3回以上の夕食後のおやつ」「週に3日以上朝食を抜く」「30分以上週に2回以上の運動」「毎日1時間以上の歩行」「現在の喫煙状況」「アルコールの消費量」について「幸福感」との関係を検討。
「昼食時間の長さ」「塩辛い食べ物の摂取」「就寝前2時間以内の夕食」「週3回以上の夕食後のおやつ」「30分以上週に2回以上の運動」「毎日1時間以上の歩行」との間に有意な関係を確認。(上図参照)
2016年に遡って同院で健診を受けてデータの揃っていた対象者の縦断的な比較では、「年齢」、「性別」、「BMI」で調整した結果では、「良好な食事」および「身体活動を維持」すると関連があった。ただ、調整因子に「睡眠の質」を加えた結果では、「身体活動を維持」とだけ有意な関連を確認。
報告者らは、「現在、良好な食事および身体活動を実践しているだけでなく、長期にわたって維持することは、幸福感の高さに関連していることが示された。特に活発な身体活動を維持することは、人々の幸福感を向上させる可能性がある」とまとめている。
「Associations between lifestyle behaviour changes and the optimal well-being of middle-aged Japanese individuals」
https://bpsmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13030-021-00210-5