埼玉医科大学総合診療内科の廣岡伸隆氏らの研究報告。2021年4月29日「BMC Public Health」に4月29日掲載。
日本成人病予防協会認定の健康管理士の有資格者で健康啓発活動を積極的に行うための生涯教育を定期的に受けているヘルスリテラシーの高いことが見込まれる9,149人に調査協力を依頼。調査協力者4,820人が対象。平均年齢は55.4±12.2歳、66.2％が女性、BMIは21.9±3.3で肥満者は15.0％。
生活習慣は、「体重管理の意思」、「運動」、「飲酒」、「喫煙習慣」、「疾患予防のために生活管理」をしているか否かの5項目については2段階評価で回答を得て、好ましい選択肢の回答は4点、好ましくない選択肢は1点とした。「食品の栄養成分表示ラベルを確認するか」、「バランスの取れた食事をしているか」、「運動を心がけているか」、「ストレスの程度」、「休息の満足度」、「睡眠の満足度」の6項目については、4段階評価で回答を得て、最も好ましい選択肢を4点、最も好ましくない選択肢を1点とした。
人生の目的意識の評価は「生きがい意識尺度」（9項目の質問で構成。45点満点で評価する心理測定ツール）を使用。
結果、生活習慣の全体的な傾向をみると、82.6％が体重管理の意思を持ち、89.2％は疾患予防のために生活管理をしていた。食習慣に関しては、80％以上が食品の栄養成分表示ラベルを確認し（「常に」と「しばしば」の合計）、90％以上がバランスの取れた食事をしていると回答。運動習慣に関しては、80％以上が運動を心がけ、63.9％は適切な運動量を満たしていた。休息と睡眠についても充足している人の割合が多かった。これらの数値から、調査対象者のヘルスリテラシーの高さがうかがえる。ただし、ストレスに関しては、「ストレスを感じている」との回答が74.4％と多かった。
生活習慣スコアを合計し、その中央値をカットオフ値として対象集団全体を2分した上で、生きがい意識尺度スコアを比較。生活習慣スコアの上位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは35.3点（95％信頼区間35.1～35.5）。下位2分の1に該当する群の生きがい意識尺度スコアは31.4点（同31.2～31.7）であり、より健康的な生活を送っていると考えられる群の方が高スコアで、有意な群間差が存在した（P＜0.0001）。（上図参照）
報告者は、「健康的な生活習慣は人生の生きがい意識と関連していることが示された。しかし、両者の因果関係や関連のメカニズムは不明。この領域の研究の発展に期待を寄せている」とまとめている。
「Association between healthy lifestyle practices and life purpose among a highly health-literate cohort: a cross-sectional study」
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-021-10905-7