健康格差の実態調査。教育歴が短い群で年齢調整死亡率がより高い傾向が明らかに!(国立がん研究センター)

 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所 田中 宏和 氏らの研究グループの報告。2024年3月28日国立がん研究センターのホームページで公表。研究成果は2024年3月27日「International Journal of Epidemiology」に掲載。

 健康格差の実態を明らかにするため、国勢調査と人口動態統計を匿名化個票単位で突合した約800万人分の人口データ(全人口の9%)と2010年から2015年の約33万人分の死亡データから、日本人の教育歴(「中学卒業者」、「高校卒業者」、「大学以上卒業者」、「不詳」)ごとの死因別死亡率を初めて推計。

以下結果の一部

 全死因では「大学以上卒業者」に比べて、「高校卒業者」は男性で1.16倍、女性で1.23倍、「中学卒業者」は男性で1.36倍、女性で1.46倍、年齢調整死亡率が高い結果。

 教育歴ごとの死亡率の差が大きい死因の上位は、脳血管疾患、肺がん、虚血性心疾患、胃がん。(上表参照)

 報告は、「本研究では教育歴により年齢調整死亡率が異なることが観察されたが、教育歴が直接死亡率に影響しているわけではなく、教育歴の違いが死亡率と関係する喫煙率や健診受診率といった生活習慣や健康行動などと関連しており、それが死亡率の違いにつながっていると考えられる」とまとめている。


「国勢調査と人口動態統計の個票データリンケージにより日本人の教育歴ごとの死因別死亡率を初めて推計」(国立がん研究センター)
 https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/0328/index.html
「Educational inequalities in all-cause and cause-specific mortality in Japan: national census-linked mortality data for 2010–15」(International Journal of Epidemiology)
 https://academic.oup.com/ije/article/53/2/dyae031/7634899