低い世帯所得は医療の受診控えにつながるリスク!(国立成育医療研究センター)

 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター研究所 帯包 エリカ 氏らの研究グループの報告。2023年2月17日国立成育医療研究センターのホームページにて公表。詳細は、2023年2月2日「Environmental Research and Public Health」に掲載。

 「コロナ禍の社会・健康関連の要因への影響を明らかにするためのインターネットコホート(JACSIS:The Japan COVID-19 and Society Internet Survey)調査」の2020年および2021年の調査データを使用。日本在住の20~79歳の19,672人が対象。

 2020年の世帯所得を世帯人数で調整し、その中央値の半分未満(今回は300万円未満)を低所得世帯と定義。医療の受診控えは、定期的に通っている医療の受診(定期受診)、新たに出た症状に対しての医療の受診(新規受診)の2つについて調査。

 結果

 低所得世帯の群は、そうでない群と比べて、男性で約1.3倍、女性で約1.5倍、コロナ禍において定期受診を控えることが分かった。また、低所得世帯の群の新規受診を控える割合は、そうでない群と比べて男性は約1.3倍、女性は有意な関連は認められなかった。(上図参照)

 報告は、「定期受診などを控えることは、基礎疾患のある患者にとって病状の悪化を引き起こす可能性もあり、低所得世帯には医療の受診に対する経済的・心理的負担を減らす施策が求められる」とまとめている。


「低い世帯所得が医療の受診控えにつながる可能性 ~コロナ禍においても、平時同様の傾向が見られた~」(国立成育医療研究センター)
 https://www.ncchd.go.jp/press/2023/0217.html
「Association between Poverty and Refraining from Seeking Medical Care during the COVID-19 Pandemic in Japan: A Prospective Cohort Study」(Environmental Research and Public Health)
 https://www.mdpi.com/1660-4601/20/3/2682