慶応義塾大学医学部 倉田 英明 氏らの研究グループによる報告。研究成果は2023年8月9日「BMC geriatrics」に掲載。
ベースライン時に身体障害のない85歳から89歳の高齢者を対象とした前向きコホート研究川崎元気高齢者研究(KAWP:Kawasaki Aging and Wellbeing Project)の成人1,026人のうち、自己記入による簡単な食事歴アンケートに回答していない人、またはミニ精神状態検査で24点未満だった人を除いた833人が対象。タンパク質エネルギー比で、四分位 Q1 (14.7%未満)208人、Q2 (14.7%以上16.7%未満)208人、Q3(16.7%以上19.1%未満)209人、Q4(19.1%以上)208人にグループ化。タンパク質摂取量と全死因死亡率との関連性を分析。
結果
研究対象集団の平均タンパク質摂取量は、総エネルギーの 17.0%。動物性タンパク質の摂取量、特に魚の摂取量は、総タンパク質摂取量とともに大幅に増加。平均観察期間は1,218日で、89人が死亡。タンパク質摂取量が最も多い(Q4)は、最も少ない(Q1)を基準とすると、ハザード比(HR)0.44(95%信頼区間0.22~0.90)で56%低リスク。(上図参照)
報告は、「タンパク質摂取は、自立した日常生活活動を行っている高齢者(85歳以上)の全死因死亡リスクの低下と関連。この関連性は、筋肉量とは無関係に全死因死亡率に影響を与える可能性がある」とまとめている。
「Dietary protein intake and all-cause mortality: results from The Kawasaki Aging and Wellbeing Project」(BMC geriatrics)
https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-023-04173-w