長時間睡眠で特定のアミノ酸(シスチン、プロリン、セリン)の摂取量が少ない人は認知障害発症リスクが高い!(国立長寿医療研究センター)

 国立長寿医療研究センター 木下 かほり 氏らの報告。研究成果は2023年10月11日「BMC Geriatrics」に掲載。

 地域ベースの縦断的研究。ベースラインで認知障害のない60〜83歳の成人623人が対象。睡眠時間は自己申告質問票を使用。アミノ酸摂取量は3日間の食事記録を使用して評価。認知障害はミニメンタルステート検査(MMSE:Mini Mental State Examination)スコアが27以下と定義。

 ベースラインの睡眠時間で、短時間睡眠群(6時間以下)58人、中時間睡眠群(7~8時間)388人、長時間睡眠群(8時間超)177人に分類。認知障害発症率について中時間睡眠を基準とした短時間睡眠と長時間睡眠でのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定。19種類のアミノ酸の摂取量の性別層別四分位数(Q)で、Q1を低摂取量群、Q2~Q4を中~高摂取量群に分類して比較検討。

 平均追跡期間は6.9±2.1年。

 中時間睡眠群を基準とした場合、短時間睡眠群、長時間睡眠群における認知障害の調整後OR(95%信頼区間)は、それぞれ0.81(0.49~1.35、P=0.423)と1.41(1.05~1.87、P=0.020)。(上図参照)
 特に長時間睡眠群では、認知障害はシスチン、プロリン、セリンの摂取量が少ないことと有意に関連。調整後OR(95%信頼区間)はシスチン2.17 (1.15~4.11、P=0.017)、プロリン1.86(1.07~3.23、P=0.027)、セリン2.21 (1.14~4.29、P=0.019)。

 報告は、「60歳以上の成人で睡眠時間が長い人は、認知機能が低下する可能性が高く、シスチン、プロリン、セリンの摂取量が少ないことに注意を払う必要がある」とまとめている。


「Dietary amino acid intake and sleep duration are additively involved in future cognitive decline in Japanese adults aged 60 years or over: a community-based longitudinal study」(BMC Geriatrics)
 https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-023-04359-2


〔参考〕
シスチン・・・肉類(特にレバー)、魚類、鶏卵、にんにく、たまねぎ、ブロッコリーなどに多く含まれる
プロリン・・・チーズ、えび、大豆製品、鶏肉、豚肉などに多く含まれる
セリン・・・大豆、大豆製品、豆類などに多く含まれる