チーズの摂取状況、年齢、通常歩行速度、ふくらはぎ周囲径が認知機能と関連!(東京都健康長寿医療センター 他)

 株式会社明治、桜美林大学、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの共同研究グループの報告。2023年10月19日東京都長寿医療センター他のホームページで公表。研究成果は2023年7月18日に「Nutrients」に掲載。

 東京都板橋区在住の65歳以上の日本人高齢者の横断研究より、チーズ摂取と認知機能検査(MMSE検査)にデータの欠損のない1,504名を対象に認知機能低下に関連する因子を分析した結果。

 チーズ摂取者(週に一回以上チーズを摂取する人)はチーズ非摂取者と比較して、通常歩行速度が有意に速く(1.30m/秒 vs. 1.24m/秒、P<0.001)、歯の残存本数が有意に多く(20.00本 vs. 18.66本、P=0.013)、血中HDLコレステロールが有意に高かった(68.47mg/dL vs. 65.77mg/dL、P=0.010)。
 チーズ摂取者はチーズ非摂取者より牛乳を摂取している人の割合が高く、尿失禁の頻度は低く、さらに認知機能を評価する指標であるMMSEのスコアが高い値を示した。
 MMSEスコアが23点以下を認知機能低下として分類したとき、該当者は対象者の4.6%程度(69名)。この集団はMMSEスコアが23点よりも高い集団と比較して、ふくらはぎの周囲径が有意に小さく(34.18cm vs. 22.28cm、P<0.001)、通常歩行速度が有意に遅く(1.30m/秒 vs. 1.24m/秒、P<0.001)、貧血の発現が有意に多かった(1.7% vs. 3.7%、P<0.011)。

 ロジスティック回帰分析の結果、認知機能低下に影響を及ぼす因子としてチーズ摂取〔オッズ比(OR)0.404、95%CI 0.198~0.824、P<0.05〕、年齢(同1.150、1.066~1.239、P<0.01)、通常歩行速度(同0.218、0.075~0.638、P<0.01)、ふくらはぎの周囲径(同0.843、0.761~0.934、P<0.01)が関連することが示された。(上図参照)


 報告は、「本研究の結果から、特定の地域在住の日本人高齢者において、チーズの摂取は認知機能の低さと逆相関を示すことが明らかになった」とまとめている。


「日常的なチーズの摂取が認知機能の高さと関わることが特定の地域在住の日本人高齢者を対象とした疫学研究により判明」(東京都健康長寿医療センター)
 https://www.tmghig.jp/research/release/2023/1019.html
「Inverse Association between Cheese Consumption and Lower Cognitive Function in Japanese Community-Dwelling Older Adults Based on a Cross-Sectional Study」(Nutrients)
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10384548/