メルボルン大学 Sandra Iuliano氏らの報告。2021年10月21日にBMJ(British Medical Journal)に掲載。
オーストラリアのビクトリア州の60件の老人介護施設の7,195人(女性68%、平均年齢86.0歳)が対象。2年間にわたり、食事に乳製品を加えカルシウムとタンパク質を摂取すると、骨折や転倒のリスクをどれだけ減らせるかを「クラスター無作為化比較試験」にて調査した結果。
介入群は、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)を追加し、1日あたり1,142mg(SD 353)のカルシウム、69g(SD 15)(体重1㎏あたり1.1g)のタンパク質を摂取。対照群は、1日当たり700mg(SD 247)のカルシウム、58g(SD 14)(体重1㎏あたり0.9g)のタンパク質を摂取。
結果
追跡調査中に合計324の骨折(うち135の股関節骨折)、4,302の転倒、1,974の死亡を観察。介入により、全骨折で33%(121対203、ハザード比0.67、95%信頼区間0.48~0.93、P=0.02)、股関節骨折で46%(42対93、0.54、0.35~0.83、P=0.005)、転倒で11%(1,879対2,423、0.89、0.78~0.98、P=0.04)のリスク減少(下図参照)。
股関節骨折と転倒のリスク低減は、それぞれ5ヵ月後(P=0.02)と3ヵ月後(P=0.004)に有意になった。死亡率には変化がなかった(900対1,074、ハザード比1.01、0.43~3.08)。
報告は、「乳製品を使用してカルシウムとタンパク質の摂取量を改善することは、高齢者介護者に一般的に発生する転倒や骨折のリスクを低減する容易に利用できる介入方法である」とまとめている。
「Effect of dietary sources of calcium and protein on hip fractures and falls in older adults in residential care: cluster randomised controlled trial」
https://www.bmj.com/content/375/bmj.n2364