ペット飼育が介護費の抑制に影響!ペット飼育者は介護保険サービス利用費が約半額(東京都健康長寿医療センター)

 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 社会参加と地域保健研究チームの報告。2023年02月03日ホームページにて公表。研究成果は2023年1月27日「PLOS ONE」に掲載。

 2017年に埼玉県比企郡鳩山町での疫学調査に応答した既往歴や要介護認定者数には差のない460名が対象。平均年齢77.7歳(男性61.6%)。有病率は、高血圧51.1%、脂質異常症37.4%、骨関節疾患27.4%、心疾患22.2%、糖尿病19.3%、脳血管疾患10.7%。要介護認定割合は6.3%。ペット飼育割合は20.9%で、このうち24.0%が犬及び猫の飼育、42.7%が犬のみ飼育、24.0%が猫のみ飼育。
 ペット飼育者とペット非飼育者との間で、2017年6月の調査時から直近の17カ月間(2016年1月まで)の月額の医療費及び介護保険サービス利用費の差異を比較検討。

 結果

 月額医療費は、ペット飼育者が48,054円、ペット非飼育者が42,260円で、調査期間における月額医療費の比は最小0.9、最大1.2と有意な差はみられなかった。

 月額介護保険サービス利用費は、ペット飼育者が676円、ペット非飼育者が1,420円で、調査期間中における月額介護費の比は最小1.2最大2.3と有意な差がみられた。(上図参照)

 報告は、「ペットを飼っている人の毎月の介護費用が、ペットを飼っていない人の約半分であることを初めて示した。高齢者のペット所有を促進することで、長期介護のコストを削減できる可能性を提起する。これは、社会保障制度を維持する上で重要な意味を持つ可能性がある」とまとめている。


「『ペット飼育が介護費の抑制に影響』高齢化の進展に伴う介護費の増大に対し、ペット飼育は介護予防効果のみならず介護給付費が約半額に抑制されることが初めて明らかに」(東京都健康長寿医療センター)
 https://www.tmghig.jp/research/release/2023/0203.html
「Pet ownership-related differences in medical and long-term care costs among community-dwelling older Japanese」(PLOS ONE)
 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0277049