中年期の体重変化が大きいと脳卒中および虚血性心疾患のリスクが高くなる!多目的コホート研究(JPHC研究)

 中年期の体重変化が心血管疾患の発生率に与える影響は十分に解明されていない。そこで、5年間の体重変化が中年の個人の脳卒中およ虚血性心疾患のリスクと関連しているかどうかの調査結果。Atherosclerosis 2021年4月公開。

 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2019年現在)管内に在住者のうち、がんや循環器疾患になっていなかった40~69歳の74,928人のデータを分析。調査開始時からの5年間に体重がどれくらい変化したかを5つのグループ(5kg以上減少、3-4kg減少、±2kg以内の変化、3-4kg増加、5kg以上増加)に分け、その後の脳卒中および虚血性心疾患の発症リスクとの関連を検討。解析する際に、地域、喫煙状況、身体活動、飲酒習慣、高血圧や糖尿病の既往や服薬、高コレステロール薬の服薬の有無で調整を行い、これらの要因による影響をできるだけ取り除いた。

 結果、追跡期間中に、3,975件の脳卒中と914件の虚血性心疾患を記録。脳卒中は「体重2kg以下の変化群」を「1」とした場合、男性の「5kg以上の減少群」の多変量ハザード比(HR)は、1.17(95%CI、1.01–1.37)。女性は「5kg以上の体重減少群」で1.33(1.13–1.57)、「5kg以上の体重増加群」で1.61 1.36–1.92)(U字型の関連)(上図左参照)。虚血性心疾患は「体重2kg以下の変化群」を「1」とした場合、男性の「5kg以上の体重増加群」は1.22(0.95–1.58)(上図右参照)。さらに5年以内の初期のイベントを除外した後、その正の関連性はより強くなった1.34(1.00–1.82)。

 報告者は、「体重減少は男女とも、脳卒中発症のリスク上昇と関連がみられた。体重増加では、女性において、脳卒中発症のリスク上昇と関連がみられ、男性では統計学的有意ではないものの虚血性心疾患発症のリスク上昇と関連がみられた」とまとめている。


中年期における体重変化と脳卒中および虚血性心疾患の発症との関連について(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8658.html


〔管理者コメント〕

 対象年齢幅が40歳から69歳と広く、10歳刻みで調査すれば、少し異なった結果が得られ、より関係は明らかになるのではないかと感じます。