趣味がたくさんあると循環器疾患発症リスクが低い(多目的コホート研究)

 多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。2021年9月2日「Atherosclerosis」に掲載。

 平成5年(1993年)に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の5保健所管内(呼称は2019年現在)に在住で、アンケート調査に協力した人のうち、循環器疾患とがんの既往のない男女56,381人が対象。平成24年(2012年)まで追跡した調査結果にもとづいて、趣味と循環器疾患発症リスクとの関連を調査。

 趣味は、調査開始時のアンケートの「趣味はありますか?」という質問の回答より「ない」群、「ある」群、「たくさんある」群の3つのグループに分類。

 平均16.3年の追跡調査中に、3,685人が循環器疾患を発症。うち虚血性心疾患は940人、脳卒中は2,839人。

 結果、「ある」群は「ない」群と比較して循環器疾患発症リスクは10%低く、「たくさんある」群は20%低い結果。脳卒中発症リスクは、「ある」群は13%低く、「たくさんある」群は20%低かった。虚血性心疾患発症リスクは、「たくさんある」群は19%低い結果だったが、統計学的に有意な関連はみられなかった。(上図参照)

 報告は、「趣味を持つことは、全循環器疾患リスク、特に脳卒中リスクが低いことと関連していた。趣味への取り組みは健康的なライフスタイルを進めるうえで重要な役割がある可能性がある」とまとめている。


「趣味と循環器疾患発症リスクとの関連」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8902.html
「Having hobbies and the risk of cardiovascular disease incidence: A Japan public health center-based study」
 https://www.atherosclerosis-journal.com/article/S0021-9150(21)01318-6/fulltext