日本の認知症の38.9%は予防可能と推計(東海大学)

認知症,危険因子

 東海大学の 和佐野 浩一郎 氏、デンマーク・コペンハーゲン大学認知症センターの Kasper Jørgensen 氏の報告。2026年1月13日東海大学のホームページにて公表。研究成果は、2026年1月「The Lancet Regional Health-Western Pacific」に掲載。

 2024年のランセット認知症委員会の報告において、科学的根拠に基づき特定された14の修正可能な認知症危険因子を日本の国民健康・栄養調査、政府統計、疫学研究、環境データなど、信頼性の高い国内データを用いて、それぞれの有病率(該当者の割合)を推定。さらに、集団寄与危険割合(PAF1および潜在的影響割合(PIF2を算出し、日本における認知症予防の潜在的規模を定量的に評価。

 以下主な結果

 14の危険因子を相互の関連を調整したうえで解析した結果、日本における認知症の38.9%が理論上予防可能であることが示唆された。特に寄与が大きい因子は、難聴(6.7%)、運動不足(6.0%)、高LDLコレステロール血症(4.5%) 。(上図参照)

 各危険因子の潜在的影響割合(PIF)を用いた推計では、危険因子を一律に10%低減した場合には将来的に約20.8万人、一律20%低減した場合には約40.8万人の認知症を予防できる可能性が示された。


 報告は、「日本の実情に即したデータを用いて、どの危険因子に優先的に介入すべきかを定量的に示した点に大きな意義がある。特に、難聴や運動不足など、適切な対策によって改善可能な要因が、認知症予防に大きく寄与することが明らかになった」とまとめている。


*1 集団寄与危険割合(PAF:Population Attributable Fraction)
「もし特定の危険因子が存在しなかったと仮定した場合、全体の認知症のうち、どの程度が防げた可能性があるか」を示す指標。例えば、PAFが10%であれば、「理論的には、その因子がなければ認知症の10%は起こらなかった可能性がある」ことを意味する。本研究では、14因子それぞれのPAFを算出し、さらに因子同士の重なりを考慮した上で、全体としてどの程度の認知症が予防可能かを評価。

*2 潜在的影響割合(PIF:Potential Impact Fraction)
「危険因子を完全になくすのではなく、例えば10%や20%といった現実的な範囲で減らした場合に、どの程度の認知症が減少する可能性があるか」を示す指標。PAFが「理論上の最大限の予防可能性」を示すのに対し、PIFは実際の政策や介入によって達成し得る効果を見積もるための指標。本研究では、14の危険因子をそれぞれ10%または20%低減した場合に、将来的にどれだけの認知症患者数を減らせる可能性があるかを推定。


「日本における認知症予防の可能性-認知症の約4割は「予防」可能-」(東海大学)
 https://www.tokai.ac.jp/news/detail/_4_1020.html
「The potential for dementia prevention in Japan: a population attributable fraction calculation for 14 modifiable risk factors and estimates of the impact of risk factor reductions」(The Lancet Regional Health-Western Pacific)
 https://www.thelancet.com/journals/lanwpc/article/PIIS2666-6065(25)00331-1/fulltext


〔参考〕

 2024年のランセット認知症委員会の報告

 2020年のランセット認知症委員会の報告

 2017年のランセット認知症委員会の報告