手や指を細かく動かす手指機能が低いと要介護化リスクが高い!(筑波大学 他)

身体活動要介護,手指機能

 国立大学法人筑波大学 Namhoon Lim 氏らの研究グループの報告。2025年9月29日筑波大学ホームページにて公表。研究成果は、2025年9月8日「Annals of Geriatric Medicine and Research」に掲載。

 手指機能(ペグ移動時間および丸付け課題を用いて手の器用さを評価)が要介護化リスクとどのように関連するのか調査。対象は、茨城県笠間市で2009~2019年に実施された体力測定会に参加した65歳以上の高齢者のうち、介護認定歴がない1,069人(平均73.1±5.3歳、女性54.0%)。要介護度2以上の認定状況を2023年まで最長14年間追跡。

結果

 平均8.5年間(最大14.0年間)の追跡期間中に、248人(23.2%)が要介護2以上の認定を受けた。

 手指機能成績の不良群は、良好群と比較して、要介護化リスクが、ペグ移動時間は1.96倍(ハザード比[HR]=1.96、95%信頼区間[CI]: 1.46~2.64)、丸付け課題は1.52倍(HR=1.52、95%CI:1.14~2.02)高かった。(上図参照)

 スプライン解析により、手の器用さと機能障害の発生との間に曲線的な用量反応関係を確認。対象者の成績がペグ移動時間(37.9/38.0秒)、丸つけ課題(21/20ポイント)を下回ると要介護化リスクが高まる一方、それよりも良好であっても、リスクの減少は認められなかった。

 報告は、「健康寿命の延伸には、これまで注目されてきた下肢機能だけでなく、細かな日常生活動作に必要な手指機能も重要であることが示唆された」とまとめている。


「足腰の機能に加え、手指を巧みに動かす機能も健康寿命のカギとなる」(筑波大学)
 https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20250929140000.html
「Dose-response Association between Hand Dexterity and Functional Disability: A Longitudinal Study from the Kasama Study」(Annals of Geriatric Medicine and Research)
 https://www.e-agmr.org/journal/view.php?doi=10.4235/agmr.25.0075