中高強度身体活動・多様な食品摂取・社会交流行動を組み合わせて実践するほど、要介護化リスクが大きく低減する(東京都健康長寿医療センター研究所)

 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所2022年04月19日のプレスリリース。同 社会参加と地域保健研究チームの 藤原 佳典 氏らの報告。2022年4月15日「Journal of Epidemiology」に掲載。

 東京都内の65~84歳の男女7,822名(男性3,966名、女性3,856名、平均年齢73.6歳)を対象に行った3.6年間の追跡研究。

 質問紙により、2016年時点の中高強度身体活動量(週150分以上)*1、食品摂取多様性得点(3点以上)*2、対面/非対面交流(週1回以上)それぞれの充足の有無を評価し、これらの充足数と3.6年間の要介護化リスクに及ぼす累積的な影響とその集団寄与危険割合*3を縦断分析によって検討した結果。

 中高強度身体活動量、食品摂取多様性得点、対面/非対面交流の3つの健康行動をいずれも実践していない群と比較して、要介護化リスクは、いずれか2つ実践している群で35%、3つすべて実践している群で46%、それぞれ有意に低値を示した。また、高齢者全員(3つすべての健康行動をすでに充足している者を除く)が3つすべての健康行動を充足した場合、その集団における3.6年間の要介護化は16%減少することが示唆された。(上図参照)

 報告は、「地域における介護予防の取り組みとして、身体活動・多様な食品摂取・社会交流のうち、足りない行動要素を個人の生活習慣や高齢者の自主グループ活動等に付加することが有用である可能性が示された」とまとめている。

*1 中高強度身体活動量:普通歩行以上の強度でのすべての活動量を指す。国際的なガイドラインでは、週に150分以上の中高強度身体活動をおこなうことが推奨されている。
*2 食品摂取多様性得点:10食品群(魚介類、肉類、卵類、牛乳、大豆製品、緑黄色野菜類、海藻類、いも類、果物類、油脂類)のうち、最近1週間でほぼ毎日食べた食品群を1点とし、その合計を10点満点で表す。当センターの「健康長寿新ガイドライン」による目標値は7点以上だが、本研究のような自記式郵送調査では平均点が低くなる傾向にある。そこで本研究では、解析対象者の中央値(3点)以上を充足と定義。目標値はあくまで7点以上ですのでご注意下さい。
*3 集団寄与危険割合:本研究では、身体活動・多様な食品摂取・社会交流の各基準を充足することで、集団の要介護化が何%減少するのかを表している。


「身体活動・多様な食品摂取・社会交流:3つがそろうと介護予防効果は顕著に高まる」(東京都健康長寿医療センター研究所)
 https://www.tmghig.jp/research/release/2022/0419.html