
(アイキャッチ画像、上図は本文とは直接は関係ありません)
米国Sapien LabsのTara Thiagarajan 氏らの報告。研究成果は、2025年7月20日「Journal of Human Development and Capabilities」に掲載。
グローバル・マインド・プロジェクト(Global Mind Project)※のデータを利用し、世界中の18~24歳の10万人以上を対象に、スマートフォンを初めて所有した年齢と、心の健康指数(MHQ:Mind Health Quotient)の関連性を調査。
以下結果の一部抜粋
・ 13歳未満でスマートフォンを取得した人の場合、初所有年齢が下がるにつれて、全体的な精神的健康と幸福度が徐々に低下。
・ スマートフォン所有年齢の低さと最も強く相関する具体的な症状としては、自殺願望、攻撃性、現実から切り離された感覚、幻覚など。自殺念慮は最も大きな変化を示しており、5歳または6歳でスマートフォンを入手した18~24歳の女性のうち、自殺念慮があると回答した人は48%であるのに対し、13歳でスマートフォンを入手した場合は28%。男性では、それぞれ31%と20%。
・ スマートフォンの早期所有が、精神の健康や幸福度の悪化につながる潜在的な経路としては、約40%は早期のソーシャルメディア利用により説明できることが示された。また、ネットいじめ(10%)、睡眠の乱れ(12%)、家族関係の悪さ(13%)などもメンタルヘルス悪化の要因として挙げられた。
報告は、「政策立案者に、アルコール、タバコ、自動車の運転を制限するのと同様に成長期におけるスマートフォンやソーシャルメディアも制限することを提案する。具体的には、13歳未満の子どものスマートフォンやソーシャルメディアへのアクセスを制限し、デジタルリテラシー教育を義務付け、企業の説明責任を強化すること」とまとめている。
※ グローバル・マインド・プロジェクト(Global Mind Project)
インターネットを利用する世界の人々の、メンタルヘルスに関する包括的なプロフィール、人口統計、生活習慣、人生経験などの要素を網羅した、世界最大規模のデータベース。現在、70以上の国と地域から、インターネットを利用する100万人を超える人々のプロフィールを保持。
「Protecting the Developing Mind in a Digital Age: A Global Policy Imperative」(Journal of Human Development and Capabilities) https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19452829.2025.2518313