SNS利用とメンタルヘルス -LINEは好ましい傾向!Twitterは好ましくない傾向!-(東京都健康長寿医療センター研究所)

 東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太氏らの研究。アンケート調査により、SNS(Social Networking Service:ソーシャルネットワーキングサービス)利用の実態を把握するとともに、メンタルヘルスとの関連を調査した結果。詳細は「PLOS ONE」に3月3日掲載。

 対象は、東京都民2,543人の若年(18~39歳)、3,048人の中年(40~64歳)、2,985人の高齢(65~97歳)からなる8,576人。

(結果)

1 SNSを利用するための機器(スマートフォン、タブレット、パソコン)の所有率は、若年層はほぼ100%、中年層は95%以上、高齢層は62.3%。

2 利用しているSNSの種類は、全世代でLINEが最も多く、Twitter、Instagram、Facebookの順。LINEは60代の半数、70代の3分の1が利用。

3 メンタルヘルスとの関連(下図参照)

(性別、年齢、教育歴、生活環境、併存疾患、主観的健康感、経済状態、外出頻度、対面での対話や電話といったSNS以外の従来型コミュニケーションの頻度などで調整した結果)

主観的幸福感・・・若年層のInstagramの頻繁な閲覧、中年層のFacebookの頻繁な発信、高齢層のLINEの頻繁な発信、閲覧が有益性と関連。

悩みや抑うつ・・・若年層のInstagramの頻繁な閲覧、中年層のLINEの頻繁な発信が有益性と関連。若年層と中年層のTwitterの頻繁な利用は発信、閲覧とも有害性と関連。

孤独感・・・中年層のTwitterの頻繁な発信と閲覧および高齢層のTwitterの頻繁な発信が有害性と関連。

4 SNS以外のコミュニケーション(対面での会話や電話)が少ない人は、年齢層を問わず、全てのメンタルヘルスの指標が悪い傾向が認められた。

 報告者らは、「SNSの利用とメンタルヘルスの間に、世代やSNSの種類に依存した関連性があることが示された。これらの関連性は、有益性と有害性の両方を示しており、SNS利用の有無にかかわらず、コミュニケーションのバランスをとることが重要であると考えられる」などとまとめている。


「Who is mentally healthy? Mental health profiles of Japanese social networking service users with a focus on LINE, Facebook, Twitter, and Instagram」
 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0246090


〔管理者コメント〕

 メンタルヘルス面において匿名性の高いツールの方がリスクが高いのは当然の結果に思える。それよりも、対面でのコミュニケーション能力の低い人のSNS利用の有害性が高いことの方が問題に感じる。